ゴールドケア事例
Cases
「見て、綺麗になったでしょ?」化粧療法が引き出した、その人らしい笑顔
- 掲載日:2026.06.29
- 更新日:2026.06.18
ゴールドエイジ久居では、COSMETICS KOYO・資生堂の協力のもと、「化粧療法」の取り組みを継続的に行っています。鏡を見て、肌を整え、色をのせる。そうした一つひとつの動作は、心身のさまざまなはたらきに良い影響をもたらす可能性があるとして、近年の研究でも注目されています。
目次
本格的な美容体験が、気持ちのスイッチを入れた
2021年~2023年にかけて、ゴールドエイジ久居では「いきいき美容教室」を3回開催しました。
各テーブルに鏡を置き、本格的な化粧品を使いながら、専門講師とスタッフが一人ひとりに寄り添って進めるプログラムです。最初は少し緊張されていた方も、鏡に向かううちに、少しずつ表情がほぐれていきました。
「外に出たい」という気持ちが芽生えた
プログラムの前後で「お出かけ意欲」を測定したところ、認知機能の状態にかかわらず意欲が向上しました。中でも、「買い物に行きたい」という気持ちの高まりが特に目立ちました。
綺麗になった喜びが、誰かに会いたい、外に出たいという前向きな気持ちへつながっていく。その変化が、日々の様子だけでなく、データからも見えてきました。
表情や行動に見られた変化
特に印象的だったのは、認知症に伴う行動・心理症状、いわゆるBPSDに見られた変化です。
妄想や不穏、徘徊が日常的に見られていたA様(80代女性)は、化粧療法の後、スタッフのもとへ来て、満面の笑みでこう話されました。
「見て、綺麗になったでしょ?」
当日の評価では、BPSD13Q(認知症に伴う症状を13項目で評価する指標)のスコアが29点から0点へ。この日は、症状がほとんど見られませんでした。
また、些細なことで気持ちが高ぶりやすかったB様(80代女性)も、化粧療法をきっかけに「みんなに見てもらいたい」という気持ちが芽生え、スタッフとも穏やかに接する姿が見られました。スコアは17点から3点へ改善しています。
笑顔は「つくる」ことで変わっていく
表情の変化は印象だけではありません。
鏡に向かって表情を整えることは、口角を上げたり、顔の筋肉を動かしたりするきっかけにもなります。実際に、化粧療法の後には表情がやわらぎ、自然な笑顔が増える様子が見られました。
また顔や口まわりを動かすことは、食べる・飲み込む力を保つうえでも大切な要素の一つです。化粧療法は、見た目を整えるだけでなく、日々の生活機能の維持にもつながる可能性があります。
化粧は、女性だけのものではない
最初は「自分には関係ない」と話していた男性の入居者さまも、気づけば真剣に鏡へ向き合うようになりました。どなたにとっても、鏡に向かい身だしなみを整える時間は、その人らしい前向きな気持ちを引き出すきっかけになると感じています。
暮らしの意欲につながる取り組み
化粧療法は、ただ化粧をすすめるだけの取り組みではありません。専門講師によるアドバイスやスタッフの介助のもと、鏡に向かい、肌を整え、色をのせる時間そのものが、心を動かす体験となりました。
その中で、入居者さまの表情がやわらぎ、「見てもらいたい」「出かけたい」といった意欲や前向きな気持ちにつながる様子が見られました。参加された皆さまが興味を持って取り組まれ、喜んでいただけたことも印象的でした。
今後も、化粧療法で見せてくださった笑顔を、日々の暮らしの中に根付かせていけるよう取り組んでまいります。