なかなか寝つかれない、夜中に目が覚める

睡眠障害は、生活習慣の悪化、集中力や記憶力の低下をきたし、抑うつ気分や不安といった症状の原因となります。高齢者の睡眠障害には、入眠するのに時間がかかる、床についていても実際に眠っている時間の割合が低い、睡眠の途中で目覚める頻度が高い、起床時間が早い、昼間に仮眠をより多く必要とする、という特徴があります。


睡眠障害の要因として、身体および精神疾患、これらに伴う薬剤の服用、睡眠覚醒リズムの変化、特異的な睡眠関連疾患の存在、睡眠に影響を及ぼす生活習慣や環境因子の存在などが挙げられます。
身体および精神疾患には、パーキンソン病、脳梗塞、認知症、疼痛を伴う関節炎や悪性腫瘍、臓器機能の低下を伴う様々な疾患などが挙げられます。


◯薬剤や睡眠覚醒リズムの影響
薬剤の服用には、刺激作用のある薬剤を日中の遅い時間に服用する事や、鎮静作用のある薬剤を日中の早い時間に服用する事が挙げられます。
睡眠覚醒リズムは、光のような外的な要因と他の内的なリズムによって、1日24時間に同期されていますが、加齢に伴い、睡眠と覚醒のリズムは変化していき、外的な要因に対しても同期しにくくなります。
また、高齢者では、光、社会的接触、運動といった外的な要因が少なくなりがちで、この点からも睡眠覚醒リズムは変化しがちになります。
このようなリズムの変化は、高齢者では一般に認められるもので、必ずしも治療が必要ではありませんが、治療が必要な場合は、高い照度の光を必要な時間に浴びる高照度光療法や、睡眠覚醒リズムと同期して分泌されるメラトニンというホルモン(加齢に伴い分泌は次第に減少していきます)を服用する方法があります。

◯特異的な睡眠関連疾患
特異的な睡眠関連疾患には、睡眠中の周期性四肢運動やむずむず脚症候群、レム睡眠行動異常症、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
睡眠中の周期性四肢運動は、夜中にほぼ20〜40秒間隔で出現する一連の反復する下肢の不随意運動として特徴づけられ、この不随意運動によって、覚醒が引き起こされます。この覚醒の割合は加齢に伴い著しく増加します。
むずむず脚症候群は、下肢に虫が這うようなむずむずした感覚や、ちくちくするような感覚といった、異常感覚を特徴とする疾患で、この症状は夕方から夜間に主に出現し、また下肢をリラックスしている状態で出現し、下肢を動かすと消失もしくは改善します。この症状のため、睡眠が妨げられます。
レム睡眠行動異常は、レム睡眠(夢見が起こる深い眠りの状態)中に、夢体験の内容に関連する行動が見られる疾患です。レム睡眠中に起こるべき筋肉の活動の抑制が不完全なため、この異常行動が起こると考えられています。

◯生活習慣や環境因子
睡眠に影響を及ぼす生活習慣や環境因子として、カフェインやアルコールの摂取、運動不足、長時間の昼寝、睡眠場所の悪い環境などが挙げられます。