公開日:2021.07.12

認知症高齢者との接し方

①認知症高齢者と接する際の注意
認知症になると記憶力や理解力は低下しますが、一度にすべてのことができなくなるわけではありません。感情は残っています。人生の先輩として敬意をもって接することが大切です。

・失敗を責めない、叱らない、説得しない

・「あれ」「これ」という指示語は使わず、具体的に行動を促す

・言葉かけはひとつの行動ごとにする

・急き立てないで、ペースをあわせる

・できないことはさりげなく手伝う

・ゆっくり話す、名前で呼ぶ


②認知症高齢者の行動と対応
認知症になると、これまでできたことができなくなるほか徘徊や妄想など思いがけないことも起こるようになります。なぜそうするのかを考えればケアの方法も見えてくるはずです。あわてないで冷静に対応しましょう。

・夜間せん妄
夜間、興奮したり、幻覚を見たりして家の中を歩き回ったりすることを夜間せん妄といいます。部屋を明るくして穏やかに対応すると落ち着きます。日中散歩するなどして夜、眠れるようにし、ひどい場合は医師に相談します。

・不眠
認知症では昼夜逆転タイプの不眠がよくみられます。不安を取り除き、規則正しい生活をするために以下のような対処方法があります。

・昼間は自然光の差し込む明るい環境で過ごす。

・日中、外に出て明るい光を浴びる。

・昼間は、散歩や軽い運動、家事の手伝いなどできるだけ動くようにする。

・デイケアを利用する。

・夜眠る時は常夜灯をつけておく。

・不安で眠れない場合は、家族と相部屋にしたり、添い寝をする。

・空腹にならないよう、眠る前に温かい飲み物や消化のよい食べ物を少量摂らせる。

・空腹を訴える
食事を済ませたばかりなのに、食べ物を欲しがったり、食べ物ではない物を口にしたりする場合があります。徘徊する方は、運動量も多く、本当に空腹な場合もあります。頻繁に食べ物を要求する時には、小さなおにぎりやクッキーなどを少しずつあげるといいようです。
また、同じ量のご飯でも大きなお茶碗一杯より、小さな器でおかわりをしてあげるほうが満足感があるようです。
認知症だからといって、壊れにくい食器を使うのではなく、なるべく美しい食器を使いましょう。美しい食器や季節感のある彩りの美しい料理などが食事の満足感を高め、食行動の問題を減少させます。また、家族だんらんの食事は満足感を生むようです。

・物盗られ妄想
自分がしまい忘れたものを「盗まれた」と言い張る場合がよく見られます。毎日介護していて「あんたが盗んだ」と言われれば、傷つきますが、これも認知症ゆえの妄想と受け止め、否定しないで、一緒に探してあげましょう。また、時間に余裕がないときは代わりのものを用意して渡すなどの工夫もしてみましょう。