公開日:2021.07.12

お年寄りの心と体

Q.食べ物の好みが変わり、味がしないと言いますが?
A.老化は、人によっても各器官によっても進行に差があります。一般的に耳の聞こえが悪くなり、目の調節力が低下し、記憶力が低下するなど様々な現象が現れます。とくに消化器官では、唾液の分泌が減り、味を感じにくくなります。かといって塩分の取りすぎは体に悪いことはいうまでもありません。レモン、ゆずなどの自然の酸味やシソ、ミョウガなどの薬味で薄味を補うなど工夫をするといいでしょう。

Q.トイレが近くなり、間に合わなくて困っています。
A.老化の現象のひとつに、トイレが近くなることがあげられます。それは、膀胱括約筋が低下すること、腎臓の機能が衰え、濃縮力や濾過力が低下することなどの原因が考えられます。排泄が失敗したときには本人にとって大変ショックなことです。絶望感や屈辱感から外出をしなくなる人さえいます。
失敗しないためには、便器は和式より洋式の方が使いやすいでしょう。また衣類や下着類は、できるだけ脱ぎやすい物を選ぶようにします。
また、漏れない安心下着を着用すればいざというとき安心です。最近は安心下着のデザインも豊富で、見た目は通常の下着と変わらないものも市販されています。試してみてはいかがでしょう。

Q.性格が短気で怒りっぽくなり、とまどっています。
A.自分の体が思うようにならない、また、これまで自分でできたことができなくなる不安や焦りから、短気になり、怒りっぽくなることがあります。周囲が高齢者の心理をよく理解してつき合うことが大切です。お年寄りが興奮しているときは逆らわずに、話に耳を傾けるようにします。また、約束したときなどは待たせないように気をつけましょう。

Q.物を捨てずに、何でも取っておかないと怒ります。
A.自分が長年使ってきたものへの執着が強くなります。また、経済的にも不安定になるので、「まだまだ使える」と考えて、なかなか物を捨てられなくなります。お年寄りの持ち物を捨てる時は、本人にとっては大切な品物かもしれませんので、よく相談し、必ず了解を取るようにすることが大切です。

Q.便秘がちです。いい方法はありますか。
A.便秘が続くと食欲がなくなったり、不安やイライラの原因になります。お年寄りは、腸の働きが弱くなり腹圧も低下することに加えて、運動不足などで便秘になりがちです。便秘を防ぐには、生活のリズムを整えることが大切です。食べ物は繊維が多く含まれている豆類やカボチャなどを多くとり、水分も十分に取るようにします。また、適度に体を動かすことが大切です。たとえ、寝たきりであっても、布団の上で体を動かすことはできます。そのうえで規則的に1日1回、排便する習慣をつけるようにします。それでも便秘がひどい場合は医師に相談しましょう。

Q.下痢の時の対応をおしえてください。
A.下痢の原因は、食中毒、風邪、お腹の冷えなどいろいろな原因が考えられます。下痢の時に恐いのは、体力の消耗と、体液が失われて脱水症状になることです。
できるかぎり水分補給に勤めましょう。少し落ち着いてきたら、様子を見て消化のよいものを食べるようにします。その際、お粥と梅干しでは消化吸収能力が衰えてしまいますので、豆腐や卵などでタンパク質などを十分にとり、体力が回復するように心がけます。なお、下痢を繰り返すと肛門はただれてきますので、十分に清潔を保ってください。また長引くようでしたら医師に相談してください。