公開日:2024.09.10

特養に早く入れる方法5選!成功しやすい人の特徴や平均的な待機期間も解説

特養に早く入れる方法5選!成功しやすい人の特徴や平均的な待機期間も解説

特養(特別養護老人ホーム)は、終身利用が可能なうえに比較的安く入居できるため、人気が高い傾向にあります。
多くの方が施設入居の第一選択肢として挙げており、待機期間の長期化につながっています。
「在宅介護が困難となり特養を希望したけれど、なかなか入れない」と悩む方も多いでしょう。

この記事では、特養に早く入れる方法5選や成功しやすい人の特徴を解説します。
平均的な待機期間や空き状況を確認する方法もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

特養に早く入れる方法5選

特養に早く入れる方法は、以下の5つです。

  1. 入念に情報収集する
  2. 複数の特養へ登録しておく
  3. 希望者が少ないユニット型を狙う
  4. 必要性の高さをアピールする
  5. 入居希望エリアを広げる

それぞれ詳しく見ていきましょう。


方法①:入念に情報収集する

特養へスムーズに入所するためには、以下のような情報を入念に収集することが大切です。

  • 既存施設の空き状況
  • 新設された施設の有無
  • 入居条件
  • サービス内容 など

とくにお住いの地域に新設されれば、受け入れ人数が増加するため、入居確率は高くなります。
実際に、令和4年の施設増加率は前年比0.9%となっており、毎年少しずつ施設は増加しています。

特養施設数
令和元年1万187施設
令和2年1万336施設
令和3年1万469施設
令和4年1万562施設

新設の施設については、各都道府県や市区町村のホームページや窓口で公表されているので、頻繁にチェックしましょう。
ケアマネジャーや地域包括支援センターからの情報収集もおすすめです。

空き状況についての詳しい確認方法は、後述の「特養の空き状況を確認する方法」を参考にしてください。

引用元:厚生労働省|令和4年度福祉行政報告例の概況


方法②:複数の特養へ登録しておく

施設を申し込む際は、複数登録しておくことも大切です。
1つの施設に絞るよりも空床の情報が入りやすくなり、入居の可能性が高まるためです。

特養では終身利用が可能であり、空床ができにくいという状況にあります。
要介護度の高い待機者がいる場合、入居できる順番はなかなか回ってこないケースも少なくありません。
なるべく早く特養に入りたい場合は施設の選択肢を広げ、順番待ちの時間を減らしましょう。

なお、特養への入所が決まった場合は、登録済みの施設へ申請取り下げの旨を忘れずに連絡してください。


方法③:希望者が少ないユニット型を狙う

特養に早く入れる方法として、希望者が少ないユニット型を狙うこともおすすめです。
費用が高くなる傾向にあるため、入居希望者は違うタイプの施設を選択することが多い傾向にあるためです。

ユニット型とは、他の利用者と交流できるように、リビングなどの共有スペースがある施設になります。
部屋のタイプは、個室や多床室(※)となります。
※パーテーションで仕切られている部屋

要介護3〜5の利用者負担額を居室タイプ別に比較すると、下表のとおりです。

1日の利用者負担額(1割)※
従来型個室多床室ユニット型個室ユニット型多床室
要介護3732円732円815円815円
要介護4802円802円886円886円
要介護5871円871円955円955円
※別途居住費と食費あり

ユニット型には、他者との人間関係を築きながら日常生活を営めるうえに、手厚いケアも提供されるというメリットがあります。
政府はユニット型を推進しており、今後同タイプの施設は増加していくでしょう。
希望者が少ない今、ユニット型を選択することが、入居の確率をあげることにつながるのです。

居室タイプごとの費用について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

【早見表付き】特別養護老人ホームの費用を居室タイプ別に解説!解決方法も

引用元:


方法④:必要性の高さをアピールする

特養に早く入るためには、介護の必要性が高いことをアピールすることも大切です。
特養の入居判定は、介護を維持できるかという緊急性が影響するためです。

たとえば、以下のような対応を積極的に行うと、現状維持が困難であるという訴え掛けになります。

  • 普段利用している介護サービスのスタッフやケアマネジャーに、状況を随時報告する
  • 入居申込書の理由欄を充実させる
  • かかりつけ医の診断をあおぐ
  • ショートステイを連続利用し、在宅では厳しいことを示す

また、金銭的に困っていると申込書に記載すれば、特養に入る必要性を強調できます。
特養の判定基準について詳しく知りたい方は、後述の「特養に早く入れる人とは?3つの判定基準」を参考にしてください。


方法⑤:入居希望エリアを広げる

希望エリアを広げることで、特養に早く入れる確率が高くなる可能性もあります。
入居待機者の人数は、地域によって変わるためです。
実際、待機者が多い地域は、下表のとおりです。

都道府県入居待機者※
1位東京都2万1,495人
2位神奈川県1万4,238人
3位兵庫県1万1,534人
※令和4年4月1日時点の要介護3以上の方

次いで大阪と千葉という結果になっており、大都市が続いています。
一方、北関東などの一部地域は、都市部ほど待機者数が多くありません。
施設を探す際は、エリアの選択肢を広げることも検討しましょう。

引用元:厚生労働省|令和4年度特別養護老人ホームの入居申込者の状況


特養に早く入れる人とは?3つの判定基準

特養では空床ができた際、施設内で入居者を検討するための会議が行われます。
その際に参考として用いられる判定基準は、以下の3つです。

  1. 本人の状況
  2. 介護者の状況
  3. 生活環境の状況

それぞれ詳しく見ていきましょう。


判定基準①:本人の状況

特養の入居判定基準には下表のように、ご本人の状況が大きく影響します。

要介護度要介護525点
要介護422点
要介護320点
要介護217点
要介護115点
問題行動非常に多い(ほとんど毎日)10点
やや多い(週3~4回程度)8点
よくある(週1~2回程度)5点
たまにある(月数回程度)2点
なし0点

自治体によって指標となる点数が定められており、要介護度などに応じて点数が高くなる傾向にあります。

引用元:名古屋市|特別養護老人ホーム新入所基準


判定基準②:介護者の状況

介護者の基準は、下表のとおりです。

介護の困難度主たる介護者の状況点数
介護者なし身寄りなしのため介護不可40点
介護者あり・要介護4~5
・遠距離介護
・長期入院
・終日就労
・1級の障害
40点
・通い介護
・病気療養中
・半日就労
・2級の障害
35点
・要支援の状態
・病弱
・3級の障害
25点
・高齢(70歳以上)
・育児や看病中
15点
上記以外5点

介護者が療養中や高齢者の場合には介護の継続が困難と判断され、得点が高くなる傾向にあります。
在宅介護の継続が難しい場合は、施設入居を選択肢の1つとして考えることも大切です。

引用元:


判定基準③:生活環境の状況

特養入居を決める判定の際は、下表のように生活環境も加味されます。

生活環境の状況点数
入院・入居中だが戻る家がない5点
自宅からの立ち退きを求められている4点
本人の身体的・精神的理由により、自宅での生活は不可能である5点
住宅に問題があり、本人の生活または介護が困難である3点

判定基準となる生活環境の内容は、自治体によって異なります。
詳しくは、お住いの自治体に確認しましょう。

なお、弊社ゴールドエイジでは、さまざまな状態に対応したサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームを運営しています。
比較的短い待機期間で入居できるため、他の施設と比較検討したい方は、一覧ページでお近くの施設をご覧ください。

引用元:墨田区|特別養護老人ホーム入所指針


特養に入れるまでの待機期間はどれくらい?

令和3年新規入居者数に対する倍率は平均6.1倍となっており、入居希望者が多い状態でした。
特養に入れるまでの待機期間と申し込み時期ごとの割合は、下表のとおりです。

入居申込時期入居登録者の割合
3か月以内13.9%
3~6か月前12.1%
6~12か月前15.9%
1~2年前18.5%
2~3年前12.9%
3年以上前26.7%

上記より、3年以上かかっても入居できないケースが多いことがわかります。
特養の待機期間には幅がありますが、入居までに3か月以上はかかると考えた方がよいでしょう。

なお、入居が先送りになっている主な理由は、以下のとおりです。

  • 認知症が重度
  • 精神疾患(認知症を含まず)
  • 医療的ケアの必要性が高度
  • 看取り希望
  • 身元保証人や身寄りがなく、諸手続きが不可能
  • 定収入であるために、利用料の支払い困難
  • 要介護3未満など、入居条件が不十分 など

現行の職員では状態に対応しきれない施設が多いため、待機期間が長期化しているのです。
働き手が不足している現状では、問題の解決に時間がかかると考えられます。

とくに、2040年には医療・介護での人員不足が顕著になってくると予測されています。
2040年問題について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事】2040年問題とは?超高齢化社会の加速で起きることや原因・対策をわかりやすく解説

引用元:三菱UFJリサーチ&コンサルティング|令和5年特別養護老人ホームの入居申込者の実態把握に関する調査研究


特養の空き状況を確認する方法

特養の空き状況を確認する方法は、以下のとおりです。

  • 希望施設の空床状況を、インターネットや電話で確認する
  • 自治体の空床情報検索ページなどを利用する
  • ケアマネジャーに確認する

施設の空き状況については、自治体で公表している場合も多いので、まずはお住まいの窓口に聞いてみることをおすすめします。
ただし、更新頻度はそれぞれ異なるため、情報収集は複数の方法を組み合わせて行いましょう。


特養の入居に関するよくある質問

特養の入居によくある質問は、以下の2つです。

  1. 特養に早く入れる方法はありますか?
  2. 特養に早く入れる方法の待機期間は何か月ですか?

それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。


質問①:特養に早く入れる方法はありますか?

特養に早く入れる方法は、以下の5つです。

  1. 入念な情報収集
  2. 特養に複数登録
  3. ユニット型の申し込み
  4. 必要度のアピール
  5. 希望エリアの拡大

入居が難しいからと諦めるのではなく、それぞれ継続して実行することが大切です。
入居先には、特養以外の代替案も検討しておくようにしましょう。


質問②:特養に早く入れる方法の待機期間は何か月ですか?

特養に早く入れる方法を実施しても、入居まで3か月以上はかかると考えておくことが賢明です。
ご本人や介護者の状況など判定基準は多岐にわたり、緊急性の判断が難しい状態です。

待機期間が年単位になることも想定して、施設探しなどの行動は早めに起こしましょう。


まとめ:特養に早く入れる方法はあるが効果は小さい

特養に早く入れる方法はありますが、効果は小さい傾向にあります。
施設に入居できるかわからないまま、不安を抱えて生活することは、心身のバランスを崩すことにつながりかねません。
介護する側とされる側が笑顔で生活するためにも、特養以外の施設も並行して情報収集してみましょう。

なお、弊社ゴールドエイジでは生活の自由度が高く、比較的短い待機期間で入所できる施設を多数運営しております。
入居先を探している方は、以下の施設一覧ページもあわせてご覧ください。

【関連記事】特別養護老人ホームと介護老人福祉施設の違いとは?類似施設との比較も解説
【関連記事】介護の悩み相談ができる窓口一覧|負担軽減が期待できるサービスも解説
【関連記事】親を施設に入れるタイミングや費用相場を解説!手順や拒否時の説得方法も

この記事の監修

間井 さゆり

役職内部監査室長
保有資格介護支援専門員(ケアマネージャー)

2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。