【皆は?】認知症の家族を施設に入れたいと思う瞬間|選択肢や入居の流れも
認知症を抱えるご家族を介護していると、身体的・精神的負担から施設に入れたいと思う方も少なくありません。
入居するタイミングを逃したり、無理に在宅介護を続けたりすると、ご家族だけではなく介護者自身にも大きなリスクがあります。
この記事では、認知症を抱えるご家族を施設に入れたいと考えるタイミングや入居できる施設について解説します。
施設を選ぶときのポイントやよくあるポイントについてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
認知症の家族を施設に入れたいと考え始めるタイミング
認知症のご家族を施設に入れるきっかけは、主に3つのタイミングです。
- 介護の負担がとても大きくなった
- 心身の余裕がなくなってきた
- 介護が必要になった
それぞれのタイミングについて、具体的なケースと合わせて解説します。
タイミング①:介護の負担がとても大きくなった
介護の負担がとても大きくなったと感じたら、すぐ施設入居を決断しましょう。
具体的には、以下のケースがあります。
- 睡眠時間が削って介護しないといけない
- 目が離せず、家事や仕事ができない
- 24時間ずっと家族の介護のことが頭から離れない など
とくに、介護疲れや介護うつなど、介助している方が肉体的・精神的負担を強く感じてしまうと、ご家族と共倒れしてしまう危険性もあります。
要介護者・介護者の双方が安心して生活できるよう、施設入居をすぐ決断することが重要です。
タイミング②:心身の余裕がなくなってきた
介護をしている方の心身に余裕がなくなってきたときは、施設入居にむけて行動を始めましょう。
主に、以下のようなケースが挙げられます。
- 身体介助で腰が痛い
- 疲れがとれない、回復しない
- 不安やイライラでご家族に強くあたってしまう など
在宅介護において、介護者がもっとも「つらい」と感じる場面が認知症状への対応です。
同じことを何度も聞かれたり物が無くなったと騒がれたりすると、徐々に心の余裕がなくなります。
助けを求めるべき状況なのかを知りたい方は、介護者が在宅介護で大変に感じやすいことをランキング化した以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
【関連記事】【家族だからこそ】在宅介護で大変なことランキング|負担の軽減方法も解説
タイミング③:介護が必要になった
ご家族の介護が必要になったときは、将来に備えて施設入居を考え始めましょう。
たとえば、以下のような状況のとき施設入居を考えることをおすすめします。
- ご家族の認知症状が悪化したと感じた
- トイレや食事、入浴のときに付きっきりで対応している
- 今後の生活に不安を感じている など
もちろん、デイサービスなどの介護サービスを利用しながら在宅生活を続けられる可能性はあります。
しかし、ご家族や介護者の心身がいつ悪化するかはわかりません。
介護者の余裕があるうちに施設入居を考え始め、少しずつ準備を進めていくことが大切です。
認知症の家族を無理に在宅介護し続けると起こりうること
認知症のご家族を無理に在宅介護し続けると、下表のような危険なケースが起きかねません。
要介護者に起こりうること | 介護者に起こりうること |
・さらなる認知症の悪化 ・行方不明 ・火の不始末 など | ・心身の負担やストレスの増大 ・介護うつ ・介護放棄 ・虐待・身体拘束 など |
とくに危険なケースは、認知症のご家族への虐待です。
2024年(令和6年)に厚生労働省が発表した調査によると、介護者による虐待の相談・通報件数は38,291件と、10年連続で増加しています。
虐待が発生した主な要因は、ご家族の認知症状や介護者の介護疲れ・ストレスによるものです。
お互いが疲弊してしまい最悪のケースにならないためにも、早めに施設入居を考えましょう。
引用元:厚生労働省老健局|令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(報告)
認知症の方を取り巻く現状
厚生労働省によると、2025年(令和7年)における認知症の有病者数は約700万人と、約5人に1人は認知症を抱えていると推測されています。
つまり、認知症を抱えた方を周りが支えるのではなく、共に生きていくことが求められています。
認知症を抱えた「人」ではなく、「その人」らしさを重視したかかわりが必要です。
そこで厚生労働省では下表をはじめとして、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)と呼ばれる取り組みを推進しています。
早期診断・早期対応体制 | ・かかりつけ医等の認知症対応力を向上 ・専門機関における認知症の診断体制を整備 |
認知症サポーター | 認知症に関する正しい知識・理解をもつための研修 |
認知症カフェ | 認知症の人やその家族が地域の人や専門家と情報共有できる場 |
お互いにとって健康で安心できる生活を続けるためにも、利用できるサービスは積極的に活用していきましょう。
引用元:厚生労働省老健局|令和元年認知症施策の総合的な推進について
【施設に入れたいとき】認知症の方が利用できる場所一覧
認知症の方でもご利用できる入居施設は、下表のとおりです。
種類 | 対象者 |
特別養護老人ホーム | ・要介護3以上の認定を受けている65歳以上の高齢者(※1) ・環境や経済的理由により家での生活を続けられない方 |
有料老人ホーム | 多くは60歳または65歳以上の高齢者 |
グループホーム | ・要支援2、要介護1以上の介護認定を受けている65歳以上の高齢者(※2) ・医師から認知症の診断を受けている方 |
サービス付き高齢者向け住宅 | ・60歳以上の単身・夫婦世帯 ・要介護、要支援者認定を受けている40歳以上の方 |
※2 事業所がある市町村に住民票がある方
施設によっては、認知症状の程度や要介護度などの条件があるので、入居前に確認しましょう。
なお、入居施設を選ぶ手順は、大きく分けると以下の3ステップです。
- ご本人が望む生活を明確にする
- 介護体制をチェックする
- 実際に訪問してみる
認知症向け介護施設の概要や費用について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
【関連記事】認知症向け介護施設一覧|入居にかかる費用や選び方のポイントも解説
認知症の家族を施設に入れたいと思ったら行動すべきこと
認知症を抱えたご家族が施設に入居するまでの流れは、以下の3ステップです。
- 親やご家族と話し合う
- 入居先を探す
- 見学や体験利用を経て入居先を決める
入居先を探す際は、以下を中心にチェックしましょう。
- ご家族の希望条件
- 立地
- 予算
- 入居・退去条件
- 医療・看護体制 など
希望する施設が複数見つかった場合は、見学や体験利用がおすすめです。
複数の施設を体験し申し込むことで、入居できるタイミングが増え、その分在宅介護の負担軽減につながります。
なお、弊社ゴールドエイジでは、認知症を抱えた方でも入居できる有料老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を運営しております。
入居相談やご見学も随時受け付けているので、以下の一覧ページからお近くの施設をお探しください。
※認知症の方が入居をご希望される場合、事前面談があります。
症状によっては入居いただけないケースもございますので、あらかじめご了承ください。
施設入居の手順やタイミングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしましょう。
【関連記事】親を施設に入れるタイミングや費用相場を解説!手順や拒否時の説得方法も
認知症の家族を施設に入れることに関するよくある質問
認知症のご家族が施設入居するときによくある質問は、以下の2つです。
- 施設に入ると認知症状が悪化する?
- 施設入居を拒否した場合はどうすればよい?
それぞれの質問について解説します。
質問①:施設に入ると症状が悪化する?
認知症を抱えた方が施設に入居すると、認知症状が悪化するリスクは少なからずあります。
主な理由は、以下のとおりです。
- 生活環境が変わった
- 自宅と比べると制限は多い
- まだ他入居者やスタッフとの関係性が築けていない など
とくに、施設入居した当初は慣れない環境や生活リズムの変化に混乱してしまい、「認知症が悪化したのでは?」と感じる場面もあるでしょう。
しかし、施設だからこそ可能な認知症ケアによって、認知症状の進行がゆるやかになるケースも多々あります。
- 24時間体制で総合的なケアが受けられる
- 他入居者やスタッフとの社会的関係を築ける
- 季節ごとのイベントや外出を通して生きがいがもてる など
認知症により生活が困難となる前に、施設入居に向けて動き始めましょう。
質問②:施設入居を拒否した場合はどうすればよい?
施設入居を拒否した場合は、ご本人の気持ちをないがしろにせず十分に話し合いしましょう。
無理に入居させてしまうと、ご家族との信頼関係を損なう可能性があるためです。
まずはご本人の気持ちに寄り添ったうえで、あなたの気持ちや思いを丁寧に伝えることが重要です。
なお、認知症の方が施設入居を拒否する主な理由としては、以下のような内容が挙げられます。
- できる限り自宅で過ごしたい
- ご家族に見捨てられたと感じる
- 自分には介護は必要ないと思っている
必要に応じて、ご家族だけではなくケアマネや入所先の相談員なども交えて話し合いを進めましょう。
まとめ:認知症の家族を施設に入れたいなら早めに検討を
認知症のご家族や介護している方にとって、在宅介護を続けたいと思う一方、今後の生活に不安を感じてしまうことは多くあります。
ご家族の状況が悪化してから施設を探すとなると、余裕がない中で施設を見つけるのはかなり大変です。
施設によっては条件があったり待機期間が長くなったりするため、早めに検討しておきましょう。
なお、弊社ゴールドエイジでは、比較的短い待機期間で入居できる施設を運営しております。
また、認知症のご利用者に寄り添ったケアを提供しています。
施設入所に関するご相談については、お近くの施設までお問い合わせください。
※ゴールドエイジでは認知症の方のご入居につきまして、ご入居者様の個別の状態により判断させていただいております。
認知症の診断の有無にかかわらず、他のご入居社様との共同生活や、職員のサービス提供に支障がない場合は、ご入居いただけます。
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この記事の監修
間井 さゆり
役職 | 内部監査室長 |
保有資格 | 介護支援専門員(ケアマネージャー) |
2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。