介護医療院の利用時にかかる費用|平均月額や内訳を解説!負担軽減策も

介護医療院は、医療・介護どちらも必要な高齢者に対して、一体的なケアを提供する施設です。
2018年(平成30年)度より創設されたため、ほかの介護保険施設よりも比較的新しく「どのような施設か、よくわからない」「費用はどれほどかかるか不安」という方が多くいらっしゃいます。
この記事では、介護医療院でかかる費用や内訳について解説します。
介護医療院に入居するときに活用できる減免制度も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
介護医療院の利用時にかかる費用の基礎知識

介護医療院とは、日常生活上における医療ケアと世話(介護ケア)を一体的に提供している施設です。
介護医療院に入居する場合にかかる費用の基礎知識として、以下の2つを解説します。
- 平均月額
- 特養との比較
また、介護医療院の基礎知識や病院との違いなどについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】介護医療院と病院(介護療養型医療施設)の違い|創設の背景や種類も解説
平均月額
介護医療院の利用時にかかる費用内訳は、主に以下のとおりです。
- 介護サービス費
- 居住費
- 食費
- その他日常生活費 など
介護医療院は公的施設のため、入居一時金といった初期費用は必要ありません。
全体的な費用相場は月々およそ10〜20万円で、施設によって人員配置や設備などにより違いがあります。
詳しく費用内訳を知りたい方は、後述する「介護医療院の費用内訳【介護サービス費編】」をご覧ください。
また、その他日常生活費の内容は以下のとおりです。
- 理美容代
- 新聞代
- 電話代
- クリーニング代 など
パッドやオムツは介護サービス費の中に含まれており、別途費用はかかりません。
特養との比較
介護医療院と特別養護老人ホーム(特養)における月額費用の違いは、下表のとおりです。
介護医療院 | 特養 | |
介護サービス費 | 2万1,630円 | 1万7,670円 |
居住費 | 3万5,130円 | |
食費 | 4万3,350円 | |
日常生活費 | 1万円 | |
合計 | 11万110円 | 10万6,150円 |
※要介護1/従来型個室、負担割合1割、2024年(令和6年)4月現在の場合
介護医療院は、特養よりも基本介護サービス費が少し高く設定されています。
医師や薬剤師などの配置が明確に定められており、ご入居者の状況に寄り添った医療・介護ケアを受けられるためです。
介護医療院だけでなく特養の月額費用や減免制度について知りたい方は、以下の記事もぜひチェックしてください。
【関連記事】特養の利用で自己負担となる費用とは?経済的負担を軽くする制度も解説
介護医療院の費用内訳【介護サービス費編】

介護医療院は、以下の要素により介護サービス費が決められています。
- ご入居者の医療処置・重度者の割合
- 看護・介護職員の配置割合
- 個室もしくは多床室
- 一般型もしくはユニット型
これらを踏まえて、介護医療院の介護サービス費について以下2点を解説します。
- 基本報酬
- 加算
介護医療院を利用するうえでかかる費用の基礎知識を確認しましょう。
介護サービス費①:基本報酬
介護医療院では、ご入居者の医療処置・重度者の割合により「Ⅰ型」と「Ⅱ型」に分類されます。
2つのタイプとその利用者像は、下表のとおりです。
Ⅰ型介護医療院 | Ⅱ型介護医療院 | ||
類型 | 介護療養病床相当以上 | 介護老人保健施設相当以上 | |
主な利用者像 | ・重篤な疾患や合併症を有する認知症高齢者 ・喀痰吸引や経管栄養が必要な高齢者 など | Ⅰ型介護医療院よりも病状が比較的安定している高齢者 |
さらに、上記2つのタイプから看護・介護職員の配置やご入居者の状況により費用の算定方法が(Ⅰ)~(Ⅲ)までの3つに分かれます。
それぞれの算定要件は、下表のとおりです。
介護医療院サービス費(Ⅰ) | 介護医療院サービス費(Ⅱ) | 介護医療院サービス費(Ⅲ) | ||
職員比率 | 看護職員 | 6:1 | ||
介護職員 | 4:1 | 4:1(※) | 5:1 | |
入居者状況 | 喀痰吸引、経管栄養またはインスリン注射が必要な方の割合 | 50%以上 | 30%以上 | 30%以上 |
ターミナルケアが必要な方 | 10%以上 | 5%以上 | 5%以上 |
※Ⅱ型介護医療院の場合、介護職員5:1
また、設備によっても「一般型」と、共同生活室の設置やユニット単位で支援する「ユニット型」があります。
ユニット型では、少人数で手厚いケアが可能なため、1日あたり100〜120円ほど高く費用がかかります。
つまり、介護医療院の基本サービス費はご入居者の状況ならびに看護・介護職員の配置割合により細かく決められているのです。
そのため、介護医療院を利用する前には、希望する施設の基本報酬を確認するようにしましょう。
次に、介護医療院の基本サービス費について、2つの類型における具体的な費用を解説します。
- Ⅰ型介護医療院サービス費
- Ⅱ型介護医療院サービス費
居室タイプ別・要介護度別で料金を掲載しているので、入居を希望される方の状況を踏まえて参考にしてください。
なお、本記事では以下の内容を前提にした費用を掲載しています。
- 2024年(令和6年)4月現在
- 負担割合:1割の場合
- 地域区分:1単位=10円の場合
- 1日あたりの費用
引用元:厚生労働省|介護報酬の算定構造
Ⅰ型介護医療院サービス費
Ⅰ型介護医療院における介護サービス費は、下表のとおりです。
部屋タイプ | 従来型個室 | 多床室 | ||||
算定要件 | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) |
要介護1 | 721円 | 711円 | 694円 | 833円 | 821円 | 805円 |
要介護2 | 832円 | 820円 | 804円 | 943円 | 930円 | 914円 |
要介護3 | 1,070円 | 1,055円 | 1,039円 | 1,182円 | 1,165円 | 1,148円 |
要介護4 | 1,172円 | 1,155円 | 1,138円 | 1,283円 | 1,264円 | 1,248円 |
要介護5 | 1,263円 | 1,245円 | 1,228円 | 1,375円 | 1,355円 | 1,338円 |
Ⅰ型介護医療院は、重篤な疾患や合併症を抱えている認知症高齢者が対象です。
医師や薬剤師も充実しており、手厚い医療ケアが受けられます。
Ⅱ型介護医療院サービス費
Ⅱ型介護医療院における介護サービス費は、下表のとおりです。
部屋タイプ | 従来型個室 | 多床室 | ||||
算定要件 | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) |
要介護1 | 675円 | 659円 | 648円 | 786円 | 770円 | 759円 |
要介護2 | 771円 | 755円 | 743円 | 883円 | 867円 | 855円 |
要介護3 | 981円 | 963円 | 952円 | 1,092円 | 1,075円 | 1,064円 |
要介護4 | 1,069円 | 1,053円 | 1,042円 | 1,181円 | 1,165円 | 1,154円 |
要介護5 | 1,149円 | 1,133円 | 1,121円 | 1,261円 | 1,245円 | 1,234円 |
Ⅱ型介護医療院は、Ⅰ型と比べると比較的症状が安定した高齢者が対象の施設となっています。
介護サービス費②:加算
施設によっては基本報酬だけでなく、いくつかの加算を算定しています。
介護医療院で算定されている主な加算は、下表のとおりです。
加算名 | 概要 | 1日あたりの料金 |
初期加算 | 入所日から起算して30日以内の期間に加算 | 30円 |
夜間勤務等看護 | 夜間勤務している看護職員の配置割合によって加算 | 7~23円 |
療養食加算 | 管理栄養士等の管理のもと、糖尿病食や腎臓病食等の療養食が提供された場合に加算 | 18円 |
サービス提供体制強化加算 | 介護福祉士の配置割合などに応じて加算 | 6~22円 |
施設によって算定している加算はさまざまなため、入居前におおよその費用を確認しておきましょう。
介護医療院の費用内訳【居住費編】

介護医療院を利用するときにかかる標準的な居住費は、下表のとおりです。
居室タイプ | 基準費用額(1日あたり) |
多床室 | 437円 |
従来型個室 | 1,728円 |
ユニット型個室的多床室 | 1,728円 |
ユニット型個室 | 2,066円 |
※2024年(令和6年)8月時点の場合
介護医療院の居住費は、厚生労働省が定めた基準にそって決められています。
ただし、設備の充実さや立地により、金額は変動します。
また、個室では別途「個室利用料(特別室料)」がかかる施設もあるので、予算にあわせて居室タイプを選択しましょう。
介護医療院の費用内訳【食費編】

介護医療院でかかる1日あたりの食費基準額は、1,445円(※)です。
※1日3食、2024年(令和6年)8月時点の金額
介護医療院では、栄養士または管理栄養士が配置されており、ご入居者の身体状況や疾患に応じた食事が提供されています。
ミキサー食やソフト食などの嚥下機能を考慮した食事もあるため、安心して食事ができるでしょう。
居住費と同様、食費も施設ごとに設定可能なため、利用前に確認が必要です。
介護医療院の費用負担を軽減させる制度

介護医療院は手厚い医療ケアと介護ケアが受けられる分、少し費用が高くなってしまいます。
できる限り費用負担を軽くしたい方は、減免制度を活用しましょう。
介護医療院に入居するときに知っておきたい減免制度は、主に以下の4つです。
- 特定入所者介護サービス費
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算制度
- 医療費控除
入居を希望する方・世帯の所得や資産によって、減免制度の段階や利用可否が決定します。
「減免制度が使えるか、わからない」という方は、お近くの介護保険課に確認しましょう。
また、要介護度によっても自己負担額が大きく異なります。
要介護度別で費用負担を軽減できる制度について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】【要介護度別】もらえるお金はある?介護にかかるお金や支援制度も解説
引用元:介護サービス情報公表システム|サービスにかかる利用料
費用を抑えながら介護・医療両方のサポートを受けたいなら

介護医療院は、長期的な医療ケアと日常生活を送るうえで必要な介護ケアが一体となった施設です。
手厚い医療・介護ケアを提供している分、施設によっては費用が高額になってしまう可能性があります。
弊社ゴールドエイジでは、介護サービスだけでなく医療面でのサポートも充実したナースケアホームを運営しております。
医療ケアが必要な方への定期的な処置・観察はもちろん、看取りや特変時も対応可能です。
食費や介護保険の個人負担分をはじめ、その他費用も合わせると月額費用の総合計は平均16万円台でご利用いただけます。
医療・介護ケアに関するご相談については、ぜひ施設一覧ページでお近くの施設(※)にお問い合わせください。
※医療介護対応施設は、以下の施設です。
まとめ:介護医療院の費用はさまざまな要素に左右される

介護医療院の費用は、施設の人員や入居者状況により大きく異なります。
とくに、介護ケアだけでなく医療ケアも必要な場合、より費用が高額になる可能性があります。
介護医療院の費用に関する基礎知識を理解し、減免制度を活用することが重要です。
なお、弊社ゴールドエイジでは、介護・医療を一体的に提供する施設を複数運営しております。
医療行為の必要な方や医療面で不安をお持ちの方は、ぜひ一覧ページでお近くの施設にお問い合わせください。
【関連記事】サ高住の費用相場と内訳一覧!年金だけでも無理なく支払える方法も解説
【関連記事】介護の悩み相談ができる窓口一覧|負担軽減が期待できるサービスも解説
【関連記事】親を施設に入れるタイミングや費用相場を解説!手順や拒否時の説得方法も
この記事の監修

間井 さゆり
役職 | 内部監査室長 |
保有資格 | 介護支援専門員(ケアマネージャー) |
2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。