公開日:2025.10.14
更新日:2025.10.30

要介護3の平均余命と介護期間|自分らしい生活の継続で大切なQOLとは

要介護3の平均余命と介護期間|自分らしい生活の継続で大切なQOLとは

要介護3になると介護の必要度が高まり、ご家族の負担も大幅に増加するため、今後の生活について検討する方が多くなります。
その際に重要なのが、介護期間を踏まえて「どこで、どのように過ごしたいか」を考えることです。
しかし、「要介護3の平均余命はどのくらいで、いつまでこのような生活を続けられるのだろうか」と疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、要介護3の平均余命と介護期間を解説します。
自分らしい生活を継続するうえで大切なQOL(Quality of Life)の意味や、要介護3の方における現状についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

要介護3の平均余命を知る前に押さえたい基礎知識

要介護3における平均余命の理解は、適切な介護サービスの選択や日々の暮らし方を考える際の指針となります。
そこで、要介護3で押さえておきたい以下2点の基礎知識を解説します。

  1. 要介護3とは
  2. 平均余命とは

それぞれ詳しく見ていきましょう。


要介護3とは

要介護3とは、心身機能の低下が進み、日常生活における多くの場面で介助が必要な状態です。
具体的には、以下のような日常生活動作の自立度が低下します。

  • 寝返り
  • 排泄
  • 衣類の着脱
  • 歯磨きや洗顔などの身だしなみ など

上記に加えて、要介護3では認知症が進行している場合も少なくありません。
認知症の症状である妄想などがみられると意思疎通が困難となり、介護者の負担は増大します。
要介護2との違いや受けられるサービスを知りたい方は、下記の記事をチェックしましょう。

【関連記事】【比較表付き】要介護2と要介護3の違いは?5つの観点からチェック!

引用元:厚生労働省|要介護認定の仕組みと手順


平均余命とは

平均余命とは、年齢ごとに平均してあと何年生きられるかという期待値です。
なお、よく耳にする平均寿命は、0歳時点での平均余命を意味します。
2024年厚生労働省の簡易生命表による各年齢の男女別平均余命は、下表のとおりです。

年齢男性女性
0歳81.09年87.13年
20歳61.44年67.48年
40歳42.03年47.88年
60歳23.63年28.92年
80歳8.96年11.83年

上記のとおり、年齢が高くなるほど平均余命は短くなり、病気や介護の状態によっても大きく変動します。
要介護3のように自立度が低下した状態では、個々の健康状態や生活環境を踏まえてライフプランを検討することが重要です。

引用元:厚生労働省|令和6年簡易生命表の概況 1主な年齢の平均余命


要介護3として認定された方の平均余命

要介護3として認定された方の平均余命は、要介護認定者の生存率調査から判断できます。
調査では、要介護度が高くなるほど経年生存率が低下すると報告されています。

要支援では2年後生存率が90%以上で、5年後も80%近い状況です。
一方、要介護3では2年後生存率が約70%、5年後は40%ほどでした。
要介護度の高さは平均余命に影響するため、進行を防ぐことが重要です。

しかし、高齢者は複数の疾患を抱えているケースも多く、現状を維持するのは容易ではありません。
実際、厚生労働省の調査によると、2023年4月に要介護3だった方の介護度が2024年3月に変化した割合は下表のようになりました。

状態変化割合
要介護3の維持72.9%
要介護4に移行12.4%
要介護5に移行5.0%

ほとんどの方は要介護3を維持していますが、約17%の方は要介護4や要介護5へ移行しています。
そのため、状態悪化のリスクも頭に入れておくことが大切です。
次項では、上記を踏まえて要介護3になったあとの平均介護期間を解説します。

なお、要介護3では、病気を抱える方の医療的なケアも平均余命を左右する要素です。
緩和ケアが余命を延長させる可能性に関する研究結果を詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

【関連記事】緩和ケアは生存期間(余命)を延長させる?国内外の研究結果をもとに解説

引用元:


要介護3になったあとの平均介護期間

要介護3になったあとの平均的な介護期間を知ることは、ご家族の心身や経済的な負担を考慮したライフプラン立案において重要です。
そこで、介護期間を理解するために、健康寿命と平均寿命の関係も把握しておきましょう。

健康寿命とは健康な状態で生活できる年齢を示し、平均寿命との差が介護や医療の必要な期間を表します。
厚生労働省と国民健康保険中央会の発表に基づく、要介護3の介護で知っておきたい指標は、下表のとおりです。

男性女性
平均寿命81.05歳87.09歳
健康寿命72.57歳75.45歳
介護寿命
(平均自立期間)※
79.7歳84.0歳
不健康期間8.49年11.63年
要介護期間1.35年3.09年
※要介護2以上を不健康な状態とみなした場合

上記の結果、要介護期間は限定的な年数ですが、実際には個人差が大きくなっています。
豊田市の調査では、約2割を超える方が5年以上10年以上の長期介護を経験しており、正確な期間の予測は困難です。
要介護3は24時間体制での介護が必要となるため、長期化に備えた準備や施設入所を視野に入れた検討が必須といえるでしょう。

引用元:


【平均余命よりも】要介護3で重視したい「生活の質(QOL)」とは

要介護3では、限られた活動により社会的な交流も減少するため、平均余命よりも「生活の質(QOL)」を重視することが必要です。
QOLの向上は日々の充実感をもたらし、心身の健康維持にもつながる重要な要素となります。
要介護3で大切なQOLについて、以下3つのポイントから解説します。

  1. 意味
  2. 現状
  3. QOLの向上がもたらす効果

それぞれ詳しく見ていきましょう。


意味

QOLは「Quality of Life」の略で、「生活の質」や「生きがい」を意味します。
加齢や病気で状態の変化した方が、自分らしい暮らしを目指すための考え方です。

要介護3の方にとって、QOLはとくに重要です。
下肢の筋力が低下すると1人で外出できなくなり、認知機能が変化することで社会的交流が少なくなります。

以前はできていた活動ができなくなると、生活への満足度が下がり、心身の状態悪化を招く恐れがあります。
このような状況を避け、要介護3でも充実した日々を送るためには、平均余命よりもQOLを重視した支援が必要です。


現状

要介護3の平均余命に関わらずQOLの向上は必要ですが、実際は難しいのが現状です。
厚生労働省のQOLを数値化した研究によると、介護サービス利用者は要介護度の進行に伴い生活の質が低下しています。

調査結果(※)では要介護1で0.61、要介護5で0.30となっており、要介護3もこの傾向に沿って低下している状況です。
※数値が1に近いほど生活の質が高いことを示す

QOLが低下する理由は、介護の進行とともにご自身でできる内容が減り、生活の質を維持するのが難しくなるためと考えられます。
要介護3をはじめ介護度が高い方のQOL向上を図るには、個々の状態や希望に合わせた専門的な支援が必須といえるでしょう。

引用元:厚生労働省科学研究成果データベース|介護サービス利用者のQOL・精神的健康状態への関連要因の探索


QOLの向上がもたらす効果

要介護3でも適切な支援を受ければ、QOLの向上は可能です。
QOLの向上は、要介護3の心身状態や生活満足度によい影響をもたらし、平均余命に左右されず充実した日々を過ごすことにつながります。
具体的に期待できる効果は、以下のとおりです。

  • 抑うつ状態の防止
  • 活動意欲の向上
  • 心身機能の維持
  • 介護負担の軽減 など

上記は相互に関連し合い、要介護3での「その人らしい生活の実現」を支援します。
たとえば、抑うつ状態を防ぐことで活動意欲が向上し、心身機能の維持や介護負担の軽減につながる好循環が生まれます。

ただし、QOLの向上には、介護サービスの利用や施設入所などの専門職・専門機関との連携が必要です。
QOL向上につながる要介護3に関するケアプランの重要性や、パターン別の例を詳しく知りたい方は、下記の記事をチェックしましょう。

【関連記事】要介護3のケアプラン例|一人暮らし・在宅介護・施設入所のケースを解説


要介護3でも自分らしい生活を続けたい・続けさせてあげたい方は

要介護3で自立度が低下しても、自分らしい生活を続けたい・続けさせてあげたいという気持ちは大切です。
残っている機能を活かし、できることを維持していくには、個々の状態に応じた専門家のサポートが欠かせません。

弊社ゴールドエイジが運営するサービス付き高齢者向け住宅は、自宅のような環境で介護サービスを受けられます。
理学療法士9名と作業療法士4名が在籍しており、専門的なリハビリを受けられるため、心身機能の維持や向上が可能です。

また、生活の質を高めるうえで重要な要素となる食事サービスも充実しています。
ゴールドエイジの各館独自でバイキングを開催したり、四季の食事イベントを行ったりして、食べる楽しみが感じられる工夫をしています。

このような質の高いケアの提供により、要介護3でも自分らしく生活できる環境が整っています。
実際の施設の様子は以下のInstagram投稿からもご覧いただけます。


まとめ:要介護3では平均余命よりもQOLの維持・向上に目を向けよう

要介護3になると常に介助が必要となり、自分らしく生活するのは難しくなります。
そのような状況では、平均余命よりもQOLの維持・向上に目を向けることが大切です。

なお、弊社ゴールドエイジでは、要介護3の方が満足して毎日を過ごせるよう、1人ひとりの状況に応じた専門的なサービスを提供しています。
要介護3でも生活の質を高めたい方は、施設一覧ページをご覧いただき、お近くの施設を探してみてください。

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この記事の監修

間井 さゆり

役職内部監査室長
保有資格介護支援専門員(ケアマネージャー)

2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。