公開日:2024.07.11
更新日:2024.11.01

要介護4でもらえるお金はある?利用できるサービスや入所先の選択肢も解説

要介護4でもらえるお金はある?利用できるサービスや入所先の選択肢も解説

要介護4では日常生活動作のすべてに介護が必要となり、ご家族の肉体的・精神的負担は大きくなります。
サービス利用時の金額も増え、経済的な負担も感じやすくなるでしょう。
そのため、「要介護4でもらえるお金はないのか?」と考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では、要介護4でもらえるお金の有無や利用できるサービスを解説します。
施設入所を検討する際の選択肢も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。


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要介護4でもらえるお金はある?

要介護4で直接的にもらえるお金はありません。
しかし、以下に挙げる6つのような介護保険制度を利用することで、費用の負担軽減を図れます。

  1. 区分支給限度額
  2. 自己負担額の払い戻し
  3. 紙おむつ代の助成
  4. 障害者控除
  5. 介護用品のレンタル・購入費用に対する給付
  6. バリアフリーリフォームにかかる工事費用の給付

それぞれの制度について、詳しく見ていきましょう。
将来的に要介護度が進んだときのために、他の制度や認定基準について知っておきたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】【要介護度別】もらえるお金はある?介護にかかるお金や支援制度も解説


制度①:区分支給限度額

区分支給限度額とは、介護保険で負担してくれる1か月あたりの上限額です。
利用者負担は介護サービスにかかった費用の1割(※)となり、要介護4では、下表のようになります。
※一定以上所得者の場合は2割または3割

金額
限度額30万9,380円
所得に応じた利用者負担額1割3万938円
2割6万1,876円
3割9万2,814円
※1単位10円で換算

支給限度額は「単位」で決められており、介護サービスの種類や地域によって、1単位あたりの単価が異なります。
限度額を超えてサービスを利用すると、超過分が全額自己負担となるので注意が必要です。

要介護度が上がるにつれてサービスの必要性が増す分、区分支給限度額も高額となります。
介護負担を軽減するためにも区分支給限度額を理解し、サービスを上手に組み合わせながら利用していきましょう。

引用元:公的財団法人|生命保険文化センター


制度②:自己負担額の払い戻し

介護サービス活用時の利用者負担には、月々の上限額が設定されています。
月の合計が負担上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度を高額介護サービス費といいます。

対象者と負担上限額は、下表のとおりです。

対象者※1か月の上限負担額
課税所得690万円以上の方
(年収約1,160万円以上の方)
14万100円(世帯)
課税所得380万円~690万円未満の方
(年収約770万円~1,160万円未満の方)
9万3,000円(世帯)
市町村民税課税~課税所得380万円未満の方
(年収約770万円未満の方)
4万4,400円(世帯)
全員が市町村民税非課税の方2万4,600円(世帯)
市町村民税非課税世帯で、前年の「公的年金等収入金額+その他の合計所得金額」の合計が80万円以下の方・2万4,600円(世帯)
・1万5,000円(個人)
生活保護を受給している方1万5,000円(個人)
※同じ世帯に複数のサービス利用者がいる場合には、原則世帯の自己負担合計額で算出

対象サービスは、下表のようになります。

対象のサービス対象外のサービス
・居宅サービス
・介護施設サービス
・地域密着型サービス
・福祉用具購入費や住宅改修費の1~3割負担
・施設サービスの食費、居住費や日常生活費
・介護保険の給付対象外の利用者自己負担分
・支給限度額を超え、全額自己負担となる利用者負担分

なお、高額介護サービス費の支給を受けるためには、市町村への申請が必要です。

要介護4では受けるサービス数も多く、金銭的負担を感じる方も少なくありません。
同制度はご本人とご家族にとって、介護サービスの選択肢を広げる一助となるでしょう。

引用元:


制度③:紙おむつ代の助成

紙おむつ代の助成は、介護保険ではなく各自治体が行っています。
在宅で紙おむつが必要な高齢者を対象とした助成ですが、詳細は各自治体によって異なります。

一部地域の概要は、下表のとおりです。

 宮城県仙台市神奈川県藤沢市
対象者・要介護4~5の方で、市民税非課税世帯の方
・要介護4~5の方(40歳以上)で、合計所得が400万円未満の方
要支援1~要介護3の方(65歳以上)で、住民税非課税世帯の方
品目・使い捨ておむつ
・尿取りパッド
・おむつカバー
・失禁シーツ
取扱商品一覧から選択
費用利用額の1割および利用限度額を超えた額
(利用限度額 年7万5,000円)
・注文金額が4,000円以下の場合は注文金額の1割
・注文金額が4,001円以上の場合は4,000円を超える額に400円を加えた額

要介護4の状態で紙おむつは欠かせず、金銭面での大きな負担となっています。
お近くの自治体に詳細を確認し、把握しておくことが大切です。

引用元:


制度④:障害者控除

障害者控除とは、障害があると診断された方やそのご家族が、一定金額の所得控除を受けられる制度です。
身体障害者手帳を持っていない場合でも、以下の要件を満たす方は障害者控除の対象となります。

  • 寝たきりや認知症で、常に複雑な介護を必要とする65歳以上の方
  • 障害者または特別障害者に準ずる者として市町村の認定を受けている方

障害の状態により控除額は区分され、金額は下表のとおりです。

対象者控除額
障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者75万円

要介護4では、介助なしで日常生活動作が行えないほど、身体機能が低下します。
また、認知症の周辺症状(妄想や誤食)もみられるなど、意思疎通は困難となります。

障害者控除で税負担を軽減できれば、サービス利用費はもちろん日々の生活費も確保しやすくなるでしょう。

引用元:国税庁|障害者控除


制度⑤:介護用品のレンタル・購入費用に対する給付

介護用品のレンタルは保険給付があり、利用者負担額は、費用の1割となります。
※一定以上所得者の場合は2割または3割

一方、介護用品の購入は、年間10万円を支給限度基準額としています。
介護用品のレンタル・販売対象種目は、下表のとおりです。

レンタルの対象種目販売の対象種目
・車いす(付属品含む)
・床ずれ防止用具
・手すり
・歩行器
・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト(つり具の部分を除く)
・特殊寝台(付属品含む)
・体位変換器
・スロープ
・歩行補助つえ
・自動排泄処理装置
・腰掛便座
・入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルト)
・簡易浴槽
・移動用リフトのつり具の部分
・自動排泄処理装置の交換可能部分

臥床時間が長くなる要介護4では、特殊寝台や車いすなど必要なものが多数あります。
また、状況によっては、介護用品の購入を検討する場合もあるでしょう。

金銭面での負担増加に備えて、高額介護サービス費などの制度についても、理解を深めておくことが大切です。
高額介護サービス費については、前述の「制度②:自己負担額の払い戻し」を参考にしてください。

引用元:厚生労働省|令和4年福祉用具関係参考資料


制度⑥:バリアフリーリフォームにかかる工事費用の支給

バリアフリーリフォーム実施時は所得税額から一定の金額を控除できる、住宅特定回収特別税額控除が利用できます。
税額控除を受けるためには確定申告が必要となるので、居住地がある市町村へ詳細を確認しておきましょう。

また、要介護4の状態では自力歩行が困難なため、移動は車いすを使用することが多くなります。
車いすで移動しやすい廊下幅の確保や段差の解消に向けてリフォームしたいけれど、高額のため断念するケースは少なくありません。

介護される側とする側、両者の生活を守るためにも、住宅特定改修特別税額控除は必須の制度といえます。

引用元:国税庁|バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)


要介護4とは

要介護状態では、寝たきりや認知症で常時介護を必要とします。
介護負担は要介護度によって異なるため、要介護4の基礎知識として、以下の3点を解説します。

  1. 基本的な状態
  2. 要介護3との違い
  3. 要介護5との違い

それぞれ詳しく見ていきましょう。


基本的な状態

要介護4は、日常生活で常に介護を必要とする状態です。
要介護度の中では上から2番目に重く、心身状態は以下のようになります。

  • 自力で立つことが難しく、車いすには全身を支えて移乗する
  • 更衣時は、袖に手をとおすことからボタンをはめるまで介助が必要になる
  • 問いに対して見当違いの答えが返ってくるなど、意思疎通は困難になる
  • 認知症が進行し、おむつ内に手を入れるなどの問題行動が出現する

1つひとつの介助に時間がかかるため、ご家族の介護負担は大きくなり、通所や宿泊のサービスを受けることも多くなります。

ご本人とご家族が、笑顔で生活を続けるためには、介護負担の軽減が重要なポイントといえるでしょう。


要介護3との違い

要介護4と要介護3の違いは、下表のとおりです。

違い要介護4要介護3
日常生活動作立位・座位保持・自力での立位困難
・座位保持困難
・介助で立位や歩行可能
・座位保持可能
排泄・介助で簡易トイレ
・ベッド上で紙おむつ交換
介助でトイレ使用可能
整容ほぼ全介助自力で整容可能
入浴・全介助での入浴
・訪問入浴
介助で入浴可能
意思疎通困難なことが多数認知症の状態によっては困難
要介護認定等基準時間90分以上110分未満70分以上90分未満
認定者数(割合)男女計89万1,893人(12.6%)92万4,828人(13.1%)

両者の大きな違いは、身体機能低下の進行度です。
要介護4では座位保持が難しくなるため、活動範囲も狭まり、介助を多く必要とします。

ただし、要介護3でも、認知症の進行具合によって介護負担は変化します。
要介護3の基礎知識を振り返りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】要介護3でもらえるお金はある?状態像や利用できるサービス一覧も紹介

引用元:厚生労働省|令和6年2月介護保険事業状況報告(暫定)


要介護5との違い

要介護4と要介護5の違いは、下表のとおりです。

違い要介護4要介護5
日常生活動作食事介助で可能全介助
排泄・介助で簡易トイレ
・ベッド上で紙おむつ交換
ベッド上で紙おむつ交換
体動(寝返りや手足の動き)促せば自力で可能・寝返りは自力で困難なこと多数
・手足関節拘縮傾向
意思疎通困難なことが多数困難
要介護認定等基準時間90分以上110分未満110分以上
認定者数(割合)男女計89万1,893人(12.6%)58万9,558人(8.3%)

要介護5の状態では、寝たきりの場合も少なくありません。
これまで以上に介護負担が増えるので、生活の場を今後どうしていくのか、検討しておくことが大切です。
要介護5についての基礎知識を振り返りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】要介護5でもらえるお金はある?要介護4との違いや利用できるサービスも

引用元:厚生労働省|令和6年2月介護保険事業状況報告(暫定)


要介護4で利用できるサービス一覧

要介護4では、介護保険適用のサービスをすべて受けられます。
利用できるサービス一覧は、下表のとおりです。

入所系サービス・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
・介護医療院
通所系サービス・通所介護(デイサービス)★
・通所リハビリ(デイケア)★
・地域密着型通所介護
・療養通所介護
・認知症対応型通所介護
訪問系サービス・訪問介護(ホームヘルプ)★
・訪問看護★
・訪問リハビリ★
・訪問入浴★
・夜間対応型訪問介護★
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護★
その他のサービス短期間の宿泊・短期入所生活介護(ショートステイ)★
・短期入所療養介護★
訪問・通所・宿泊の複合施設・小規模多機能型居宅介護★
・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)★
地域密着型小規模施設・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具・福祉用具貸与★
・特定福祉用具販売
★区分支給限度額の対象となるサービス

施設を利用する場合には、介護サービス費以外に住居費や食費などが発生するので、留意してください。

要介護4では介護負担の増加に伴い、施設への入居を検討する方も増えていきます。
施設の第一選択肢としては比較的費用が安く、看取りまで行っている特別養護老人ホームが挙げられます。
しかし、希望者が多いため、待機期間が1年以上となるケースも少なくありません。

施設入所を検討する際は、選択肢の幅を広げておくことが大切です。

なお、弊社ゴールドエイジのサ高住や有料老人ホームは、長い待機期間を要することなく入所できます。
他利用者と共同生活が送れる状態であれば、認知症の方も入居可能です。
入所施設をお探しの方は、施設一覧ページをご覧ください。

特別養護老人ホームについて詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】特別養護老人ホームと介護老人福祉施設の違いとは?類似施設との比較も解説


まとめ:要介護4でもらえるお金はないが支援制度がある

要介護4でもらえるお金はありませんが、利用できる支援制度は多数あります。
要介護度の重さは介護負担に比例しているので、適切に制度を利用して負担軽減を図ることが重要です。
生活の質を維持するためには、施設入所も大切な選択肢の1つとなることを覚えておきましょう。

なお、弊社ゴールドエイジでは、手厚い介護だけでなく医療的なサポートも提供しています。
要介護4で施設入所を検討している方は、施設一覧ページをあわせてご覧ください。

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この記事の監修

間井 さゆり

役職内部監査室長
保有資格介護支援専門員(ケアマネージャー)

2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。