要介護5の状態とは?心身機能の維持・改善で利用できるサービス一覧も紹介

要介護は1から5まであり、介護の必要度によって認定されます。
要介護5では、最も心身状態が重いとされ、介護の必要度は高くなります。
介護者が適切にケアしていくためには、要介護5についての理解が必要不可欠です。
この記事では、要介護5の状態像について解説します。
要介護5の主な原因や利用率が高いサービスのほか、「要介護5の状態で在宅介護は無理か」という介護者のお悩みに対する回答もあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
要介護5とは

要介護5とは、要介護度の評価基準で最も介護の必要性が高いという指標にあたります。
まずは要介護5の状態について、以下2つの観点で解説します。
- 基本的な状態像
- 要介護4との違い
それぞれのポイントを押さえて、要介護5の状態を理解しましょう。
基本的な状態像
要介護5は、日常生活のすべてにおいて介助を必要とする状態です。
具体的には、以下のような状態像が当てはまります。
- 全身または一部の麻痺
- 立ち上がりや座位保持が困難
- 食事や飲料の飲み込みが困難
- 排泄はおむつを常時使用
- 理解力・記憶力が低下 など
要介護5では、身体機能が著しく低下している方や寝たきりの方が多い点が特徴です。
寝たきりの場合は、自力での寝返りが困難となるため、床ずれを予防・治療する「褥瘡ケア」が必須となります。
また、食事摂取は介助が前提であり、状態によっては経管栄養や胃ろう管理などの医療的ケアが必要になるケースも少なくありません。
認知症の場合は、理解力や記憶力の低下により、意思疎通が困難なケースも増加します。
しかし、自力での動作が難しいため、徘徊は少ない傾向があります。
このように要介護5では介護が常時必要となり、介助内容も多岐にわたるといえるでしょう。
要介護4との違い
要介護4・要介護5はどちらも日常生活において介助が必須です。
ただし、介助内容や程度は下表のように異なります。
| 要介護4 | 要介護5 | |
| 要介護認定等基準時間※ | 90分以上110分未満 | 110分以上 |
| 食事介助 | 一部介助が必要 | すべて介助が必要 |
| 寝返りや手足の動作介助 | 一部自力で可能 | すべて介助が必要 |
| 排泄介助 | 基本的におむつ使用だが簡易トイレを利用できる場合も | おむつを常時使用しベッド上で交換 |
| 意思疎通 | 部分的に可能 | 不可能 |
| 医療ケアの必要性 | 必要な場合もある | 必要な場合が多い |
| 認定者数(割合) | 91万4,891人(約12.6%) | 58万4,499人(8.0%) |
要介護4では一部自力で可能なこともありますが、要介護5ではすべてに常時介助が必要となります。
介護の負担も大きくなるため、介護サービスを適切に利用することが大切です。
要介護4との違いやサービス利用時の負担軽減制度について知りたい方は、こちらの記事をあわせてチェックしましょう。
【関連記事】要介護5でもらえるお金はある?要介護4との違いや利用できるサービスも
引用元:厚生労働省|令和7年6月介護保険事業状況報告(暫定)全国集計表
要介護5の状態になった主な原因

要介護5の状態になった主な原因のトップ3は、以下のとおりです。
| 原因 | 割合 |
| 脳血管疾患(脳卒中) | 26.3% |
| 認知症 | 23.1% |
| 骨折・転倒 | 11.3% |
脳血管疾患は、脳梗塞やくも膜下出血をはじめ、脳の血管に異常が起きる疾患です。
治療の遅れにより後遺症が残りやすく、特に寝たきりの場合は要介護5に認定されます。
2番目に多い認知症は、原因となる他疾患と併発するケースも珍しくありません。
3番目の骨折・転倒は、加齢により治るまでの期間が長引きやすく、その間に心身機能が弱まるケースもみられます。
なお、脳血管疾患の割合がもっとも多いことから、リハビリ次第で要介護度が回復する可能性もあります。
要介護5から回復するために必要なことを知りたい方は、こちらの記事をあわせてチェックしましょう。
【関連記事】要介護5から回復する可能性はゼロではない?自立に向けて必要なことも解説
【要介護5】状態の維持・改善を目的として利用できるサービス

介護サービスを利用する際は日常生活における介護やリハビリを通して、状態の維持や改善を目指すことが大切です。
この章では、要介護5の方が利用できる介護サービスを、3つのカテゴリに分けてみていきましょう。
- 通所系サービス
- 訪問系サービス
- 施設系サービス
それぞれ利用率の高いサービスを中心に解説します。
なお、生活環境ごとの具体的なケアプラン例について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
【関連記事】要介護5のケース別ケアプラン例|状態像や受けられるサービス一覧も紹介
通所系サービス
通所系サービスは、利用者に施設へ通ってもらい介護やリハビリなどを提供するサービスです。
要介護5では主に、以下の種類がよく利用されています。
- 認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
- 通所介護(デイサービス)
- 地域密着型通所介護(小規模デイサービス)
- 通所リハビリテーション
通所介護は、食事・入浴といった生活に必要な介護や、レクリエーションを受けられる施設です。
とくに、認知症に特化している施設は「認知症対応型通所介護」と区分されています。
要介護5では認知症の方が多いため、認知症対応型通所介護は通所系サービスの中で最も利用されています。
地域の方のみ利用できる「地域密着型通所介護」は、定員18名以下の小規模デイサービスです。
また、通所リハビリテーションは、心身状態の維持や改善のために、理学療法や作業療法にもとづくリハビリを実施する施設です。
通所系サービスを取り入れることで、生活のメリハリが生まれ心身の維持や回復につながるでしょう。
訪問系サービス
訪問系サービスは、ホームヘルパーや看護師が自宅を訪問して介護・医療的ケアを提供するサービスです。
要介護5では、主に以下の種類がよく利用されています。
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 看護小規模多機能型居宅介護
夜間対応型訪問介護は、18時〜翌8時の夜間帯にホームヘルパーから身体介護や生活援助などを受けられるサービスです。
夜間に利用できるため、介護する家族の負担軽減に役立ちます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、1日複数回の介護職員による巡回サービスと、急ぎで対応が必要なときの訪問サービスの組み合わせ型です。
24時間相談でき、家族にとっても安心できる点が特徴です。
また、看護小規模多機能型居宅介護では、訪問だけではなく通所や泊まりを通して介護・看護を受けられます。
よくある利用タイミングは退院後から在宅への移行期や、在宅生活を希望しているものの病状が不安定な時期です。
とくに、要介護5で在宅生活を続けるうえで、上記のような訪問系サービスは重要な役割を担っているといえるでしょう。
施設系サービス
施設系サービスは、施設に入所している利用者に介護や看護を提供するサービスです。
要介護5では、利用されている種類は以下のとおりです。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護医療院
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 介護付き有料老人ホーム
特別養護老人ホームは、在宅での暮らしが困難な方を対象とした公的施設で、費用を抑えて入所できます。
介護医療院は、介護だけではなく医療的ケアを必要とする方が対象の施設で、医師や看護師をはじめ専門職員による対応を受けられます。
特養と介護医療院は、看取りが可能な公的施設という点が共通の特徴です。
また、介護付き有料老人ホームは、施設の職員が介護サービスを包括的に提供する民間の施設です。
24時間体制で手厚い介護や生活支援のほか、レクリエーションを受けられるのが特徴で、要介護度の高い方でも安心して生活できる環境が整っています。
一方、サ高住はバリアフリー仕様の高齢者向け住宅です。
住宅によってサービスに違いがあるため、要介護5の方が入居する場合は介護や看護サービスに対応した住宅を探す必要があります。
要介護5の状態では在宅介護の継続は無理?

要介護者へ行ったアンケートでは、要介護5の方で在宅生活の継続を望む割合が7割を超え、全要介護度の中でもっとも多い結果となっています。
理由としては、住み慣れた場所への愛着や家族に介護を受ける安心感が挙げられます。
一方で、介護者は心身の疲弊や社会参加の機会減少などの悩みを抱えている方が多いという傾向がみえてきました。
とくに、介護退職や介護のために働き方を変えた方は、要介護度とともに増加する傾向があります。
このような状況で介護者が無理をすると、体調を崩しケアが思うようにできない事態にもなりかねません。
在宅介護で大きな負担を抱えてしまう場合は、施設入所を検討することが結果的にお互いのためになるケースもあります。
要介護5の状態で在宅介護を続けられるか状態を見極め、適切なケアができる環境・体制を選びましょう。
なお、在宅介護から施設入所へ切り替えを決めた方の声をチェックしたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
【関連記事】要介護5の在宅介護で「もう無理」を感じたら|入所施設の選択肢も解説
引用元:名古屋市|令和4年 第3章 介護保険在宅サービス利用者調査
ゴールドエイジなら要介護5の状態でも在宅に近い施設生活が可能

弊社ゴールドエイジでは、要介護5の状態でも在宅に近い生活が送れる介護型のサ高住を展開しています。
デイサービスが併設された館や訪問介護・看護に対応した館をはじめ、バリエーションはさまざまです。
中には、医療的ケアが必要な方向けに、24時間看護師が常駐する「ナースケアホーム」もあります。
健康状態の観察や突発的な処置まで、提携ドクターと連携して対応できるため、要介護5の状態でも安心してご入居いただけます。
さらに、認知症の方も共同生活が可能であれば入居可能です。
ご見学や入居相談は随時受付中なので、各エリアの施設をご覧のうえ、お気軽にご相談ください。
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関東甲信越エリアの施設(タップで開く)
※認知症の方は、ご入居者様それぞれの状態により入居可否を判断させていただいております。
認知症の診断有無にかかわらず、他のご入居者様との共同生活や、職員のサービス提供に支障がない場合は、ご入居いただけます
まとめ:要介護5はあらゆる動作で介護が必要な状態

要介護5は、日常生活のあらゆる動作で介護が必要な状態です。
そのため、必要なサポートを把握し、適切にケアしていくことが大切です。
また、要介護5では24時間の介護により、介護者も心身の負担を強く感じやすい傾向があります。
場合によっては、施設入所に切り替えることが双方のためになるという点も心に留めておきましょう。
なお、弊社ゴールドエイジでは、医療的ケアも含めた看護・介護サービスが可能な施設を展開しています。
手厚いサポートを受けたい要介護5の方も、施設一覧ページをご覧のうえ、お気軽にご相談ください。
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この記事の監修

間井 さゆり
| 役職 | 内部監査室長 |
| 保有資格 | 介護支援専門員(ケアマネージャー) |
2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。






