公開日:2025.05.09

【料金表付き】緩和ケア病棟の入院費用|内訳や経済的負担の軽減制度も解説

【料金表付き】緩和ケア病棟の入院費用|内訳や経済的負担の軽減制度も解説

緩和ケア病棟とは、がんなどの病気の進行に伴う身体的・精神的なつらさを和らげるために入院する病棟です。
緩和ケアは自分らしい生活をより長く続けるために必要ではあるものの、経済的負担がネックになる場合があります。
とくに緩和ケア病棟に入院する方は、「費用はどれくらいかかるか」「金銭的負担を減らす手段はないのか」と心配になる方も多いでしょう。

この記事では、緩和ケア病棟の概要や入院費用の内訳について解説します。
費用を軽減できる制度も紹介するので、負担を減らしたい方はぜひご覧ください。

緩和ケア病棟とは

緩和ケア病棟とは、がんなどの病気の進行で生じる体の痛みや精神的なつらさを和らげる、緩和ケアに特化した病棟です。

対象者・がんや難治性疾患を抱えている方
・医師から治療が困難である判断された方
・病気や治療からくる身体的・精神的苦痛を伴う方
主な設備・病室
・デイルーム
・キッチン
・浴室
・談話室 など
スタッフ・医師
・看護師
・薬剤師
・管理栄養士
・心理士
・ソーシャルワーカー など
ケア内容・痛みや吐き気などの体のつらさを緩和
・不安や睡眠障害などのこころの問題へのアプローチ
・退院後の在宅療養や通院に関するアドバイス
・費用負担軽減や社会的関係を継続させるためのサポート

緩和ケア病棟は積極的な治療が目的ではなく、あくまでも病気に伴う身体的・精神的なつらさに対するアプローチがメインとなります。
また、一般的な病棟と比べると、デイルームや談話室など日常生活に近い環境で過ごせるため安心です。
ご本人の痛みやつらさに対するケアに加えて、ご家族のレスパイト(休息)としても活用できるでしょう。


【料金表付き】緩和ケア病棟へ入院する際にかかる費用

緩和ケア病棟に入院した場合、かかる費用の内訳は主に下表の4つです。

入院費15万4,000円
食費1万4,700円
室料差額(個室)25万3,000円
その他病衣・おむつ代など実費相当分
合計42万1,700円
※2024年(令和6年)6月時点

それぞれの項目について解説します。


費用①:入院費【全国一律】

緩和ケア病棟の入院費は、厚生労働省によって一律に定められています。
入院費の自己負担額は、下表のとおりです。

入院期間1割負担2割負担3割負担
緩和ケア病棟入院料130日以内5,140円1万270円1万5,410円
31日~60日以内4,580円9,160円1万3,750円
61日以上3,370円6,750円1万120円
緩和ケア病棟入院料230日以内4,900円9,800円1万4,700円
31日~60日以内4,430円8,850円1万3,280円
61日以上3,320円6,640円9,960円
※2024年(令和6年)6月時点/1日あたり

病棟の加算体制や入院する日数により負担額が変わります。
詳しい金額は、入院先に確認しておきましょう。

引用元:日本医師会|令和6年6月診療報酬改定対応(入院)P.42


費用②:食費【全国一律】

緩和ケア病棟でかかる1日あたりの食費基準額は、1,470円(※)です。
※1日3食、2024年(令和6年)6月時点

食費も入院費と同様、厚生労働省により基準額が定められています。
緩和ケアの目的は生活の質を維持・向上させることであり、食事による栄養管理は欠かせません。
ご本人の食事機能や障害にあわせて提供され、安心して食事ができるでしょう。

引用元:厚生労働省|入院時の食費について


費用③:室料差額

緩和ケア病棟では、入院する部屋タイプによって室料差額が発生します。
病院における室料差額の全国平均額は、下表のとおりです。

部屋タイプ平均額
1人部屋8,437円
2人部屋3,137円
3人部屋2,808円
4人部屋2,724円
※2023年(令和5年)7月時点

ただし、病棟によっては無料個室が設けられていたり室料差額が異なったりするため、予算や状況にあわせて確認しておきましょう。

引用元:厚生労働省|主な選定療養に係る報告状況


費用④:その他

その他に入院でかかる費用は、以下のとおりです。

  • おむつ代
  • 病衣
  • 日用品代 など

使用頻度やご本人の希望により費用が変わる点に留意しましょう。


緩和ケア病棟の費用負担を軽減する制度

緩和ケア病棟に入院すると治療費とは別に入院費用も結構かかり、経済的負担がかなり大きくなります。
そのようなときに利用したいのが、以下3つの負担軽減制度です。

  1. 高額療養費制度
  2. 限度額適用認定証
  3. 高額療養費委任払い・貸付制度

これらの減免制度を活用し、費用負担への不安を減らしましょう。
また、ホスピスケアでも基本的には同様の制度を活用できます。


制度①:高額療養費制度

高額療養費制度とは、同じ月にかかった医療費が上限額を超えた場合、超えた額が支給される制度です。
70歳未満の方の上限額は、下表のとおりです。

所得区分※1自己負担限度額
83万円以上25万2,600円+(医療費※2-84万2,000円)×1%
53万~79万円16万7,400円+(医療費※2-55万8,000円)×1%
28万~50万円8万100円+(医療費※2-26万7,000円)×1%
26万円以下5万7,600円
住民税非課税者3万5,400円
※1 標準報酬月額の場合
※2 保険適用される診療費用の総額(10割)

さらに、下表のように世帯状況や医療を受ける回数によっても費用負担を軽減できます。

世帯合算世帯(※)で複数人が医療機関を受診した場合、自己負担額を合算し、その合算額が上限額を超えていると払い戻される
多数該当直近1年で高額療養費を3回以上支給されていると、4回目以降の自己負担額が軽減される
※協会けんぽに加入している被保険者とその被扶養者

ただし、利用するうえで以下の点に注意が必要です。

  • 高額療養費の対象は診療費で、食費や室料差額などは対象外である
  • 一度負担額の全額を支払う必要がある
  • 申請から支給まで約3か月程度かかる

支給される金額は年齢や年収によって変わるので、状況に応じて上限額や払い戻し金額をチェックしておきましょう。
70歳以上75歳未満の方における上限額については、以下の引用元をご覧ください。

引用元:全国健康保険協会|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)


制度②:限度額適用認定証

限度額適用認定証とは、事前に申請し認定証を窓口に提示すると最初から限度額までの支払いとなる証明書です。

高額療養費制度では、一度窓口で自己負担額の全額を支払う必要があります。
後から超過額が払い戻されるものの、支払額が一時的に大きくなり負担となってしまいます。

そこで限度額適用認定証を前もって申請し窓口に提示すると、高額療養費の上限額を超える費用を支払わずにすむのです。
また、健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカードを提示しても同様の制度を活用できます。

引用元:全国健康保険協会|健康保険限度額適用認定申請書


制度③:高額療養費委任払い・貸付制度

高額医療費委任払い・貸付制度とは、高額療養費の資金を無利子で借りられる制度です。
医療費の請求書が発行されたとき、貸付制度に申請すると高額療養費の支給見込額から8割相当分を借りられます。

「貸付」と言われていますが、実際にご自身でお金を動かすわけではありません。
高額療養費制度にて支給される額が改めて確定すると、給付金から貸付額が清算されます。

引用元:全国健康保険協会|高額医療費貸付制度


緩和ケア病棟の平均在院日数

緩和ケア病棟の平均入院日数は、およそ2週間〜1か月です。
以下のようなケースとなると、緩和ケア病棟から退院を求められます。

  • ご本人や家族が退院を希望される場合
  • 症状が安定し、通院や自宅での緩和ケアが可能と判断された場合
  • 積極的な治療が必要となった場合 など

また、緩和ケア病棟では長期的な療養ができません。
緩和ケアを必要としている方をより多く受け入れるため、症状が安定すると在宅療養や転院をすすめられます。

さらに、診療報酬の改定により「費用①:入院費【全国一律】」は入院日数により金額が変わることとなりました。
病棟の立場からすると、できる限り退院を促し高い診療報酬を確保する必要があります。
ご本人・ご家族にとって利用日数に比例して費用負担は減るものの、退院後の自宅療養や転院による環境の変化に不安を感じてしまうでしょう。

緩和ケア病棟に入院する前におおよその入院日数を確認し、その後どのように療養を続けていくかを考えることが重要です。


緩和ケア病棟を退院したあとの生活に不安がある方は

緩和ケア病棟は、病気に伴う苦痛やつらさを和らげるための病棟ですが、長期療養はできず退院後の生活に不安を抱える方が多くいらっしゃいます。

弊社ゴールドエイジでは、基本的に全館で緩和ケアを受けられ高齢者のみならず若年層の方でもご入居可能です。
ただし、入居者様の状態や必要なケア内容によっては、入居可能な施設が限定される場合がございます。
詳細につきましては、ぜひお問い合わせください。

受け入れ状況や入居でかかる費用について知りたい方は、以下の施設一覧ページもあわせてチェックしましょう。


まとめ:緩和ケア病棟の入院費用は高くなりがち

緩和ケア病棟では、がんなどの病気に伴う苦痛やつらさを和らげるケアやサポートを受けられます。
ただし、入院費や差額室料がかかると入院費用は高くなりがちです。
高額療養費などの負担軽減制度をうまく活用していきましょう。

緩和ケア病棟から退院したあとの療養生活に不安のある方は、弊社ゴールドエイジがおすすめです。
高齢者だけではなく若年層の方も入居可能で、引き続き緩和ケアを受けながら安心して生活できる環境が整っています。
ただし、入居者様の状態や必要なケア内容によっては、入居可能な施設が限定される場合がございます。
詳細につきましては、ぜひお問い合わせください。

空き状況や費用に関して知りたい方は、以下の施設一覧ページもあわせてチェックしましょう。

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この記事の監修

間井 さゆり

役職内部監査室長
保有資格介護支援専門員(ケアマネージャー)

2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。