【早見表付き】特別養護老人ホームの費用を居室タイプ別に解説!軽減方法も
特別養護老人ホームは、24時間体制で介護ケアを提供する施設です。
他施設と比べると安く利用できますが、「具体的にどのぐらい金額がかかるのか」と気になっている方もいるでしょう。
この記事では、特別養護老人ホームの概要や居室タイプごとの費用について解説します。
費用負担を減らせる制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホームとは在宅での生活が困難な高齢者に、24時間体制で介護サービスを提供する生活施設です。
定義 | 要介護高齢者を対象とした生活施設 |
主なサービス内容 | ・入浴や排泄、食事などの介護 ・その他日常生活の世話 ・機能訓練、健康管理および療養上の世話 |
入居条件 | ・65歳以上で要介護3以上の方 ・40歳~64歳の方で特定疾患をお持ちの方 ・要介護1・2の方で、やむを得ない事情により特養以外での生活が困難である方 |
終の棲家として終身利用が可能であり、他施設と比べると安く利用できる点が特徴です。
ただし、地域や施設によっては入居まで半年〜1年以上の待ち期間があるため、思うように入居できないケースもあります。
特別養護老人ホームの基礎知識について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
【関連記事】特別養護老人ホームと介護老人福祉施設の違いとは?類似施設との比較も解説
特別養護老人ホームを利用する際にかかる費用の目安
特別養護老人ホームの費用について、以下の2つを解説します。
- 費用の内訳
- 【居室タイプ別】費用の相場
なお、本記事では以下の内容を前提にした費用を掲載しています。
- 2024年(令和6年)4月現在
- 負担割合:1割の場合
- 地域区分:1単位=10円の場合
- 30日あたりの費用目安
- 日常生活費:10,000円の場合(施設によって設定)
費用の内訳
特別養護老人ホーム入所時の費用内訳は、下表のとおりです。
項目 | 内容 | 詳細 |
初期費用 | なし | |
月額利用料 | 介護サービス費 | 介護サービスを受ける際に必要な費用 |
居住費 | 家賃に相当する費用 | |
食費 | 1日3食分の食事代 | |
日常生活費 | ・医療費 ・理美容代 ・外出代 など |
介護サービス費とは施設で提供されるサービスに対して支払う基本費用であり、要介護度によって自己負担額が変わります。
居住費は部屋を利用する際に支払う家賃であり、居室タイプによって費用負担が変わる点が特徴です。
オムツや尿取りパッドは施設負担のため、追加費用はありません。
ただし、施設によっては人員体制やサービスの拡充度に応じて、介護サービス加算による費用が追加されます。
加算で評価される体制や状況は、以下のとおりです。
- 医療職や専門職の人員体制・配置状況
- 入退所時のサポート
- 医療機関との連携体制
- 看取り体制
- 感染症対策やICT機器の導入状況
- リハビリテーションや口腔・栄養ケアの提供
- 介護職員の処遇改善
具体的な金額は、入居相談の際に施設へ確認するとよいでしょう。
なお、特別養護老人ホームは待機期間が長い傾向にあり、待っている間にご家族の介護負担が増えてしまう可能性があります。
待機期間の長期化を見越して、他施設も複数検討しておくことが大切です。
弊社ゴールドエイジでは、有料老人ホームやサ高住を運営しております。
他の施設とあわせて検討したい方は、施設一覧ページでお近くの施設をご覧ください。
【居室タイプ別】費用の相場
特別養護老人ホームには以下4つの居室タイプがあり、それぞれ費用相場が異なります。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
従来型個室 | 10万6,150円 | 10万8,250円 | 11万440円 | 11万2,540円 | 11万4,610円 |
多床室 | 9万6,670円 | 9万8,770円 | 10万960円 | 10万3,060円 | 10万5,130円 |
ユニット型個室 | 13万3,630円 | 13万5,730円 | 13万7,980円 | 14万110円 | 14万2,180円 |
ユニット型個室的多床室 | 12万3,490円 | 12万5,590円 | 12万7,840円 | 12万9,970円 | 13万2,040円 |
詳しい内訳と金額を見ていきましょう。
なお、親を施設に入れる際は費用以外にも考慮すべき点が複数あります。
詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】親を施設に入れるタイミングや費用相場を解説!手順や拒否時の説得方法も
従来型個室
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
介護サービス費 | 1万7,670円 | 1万9,770円 | 2万1,960円 | 2万4,060円 | 2万6,130円 |
居住費 | 3万5,130円 | ||||
食費 | 4万3,350円 | ||||
合計 | 10万6,150円 | 10万8,250円 | 11万440円 | 11万2,540円 | 11万4,610円 |
従来型個室とは、各部屋にベッドが備え付けられており、プライバシーが確保されている1人部屋です。
個室の中でも、もっとも安い居室タイプとなっています。
多床室
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
介護サービス費 | 1万7,670円 | 1万9,770円 | 2万1,960円 | 2万4,060円 | 2万6,130円 |
居住費 | 2万5,650円 | ||||
食費 | 4万3,350円 | ||||
合計 | 9万6,670円 | 9万8,770円 | 10万960円 | 10万3,060円 | 10万5,130円 |
多床室とは、1部屋に複数名入居されている部屋です。
4人部屋が多く、他部屋タイプよりも費用が抑えられるメリットがあります。
ユニット型個室
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
介護サービス費 | 2万100円 | 2万2,200円 | 2万4,450円 | 2万6,580円 | 2万8,650円 |
居住費 | 6万180円 | ||||
食費 | 4万3,350円 | ||||
合計 | 13万3,630円 | 13万5,730円 | 13万7,980円 | 14万110円 | 14万2,180円 |
ユニット型個室とは、10名以下のユニットで共同生活を送る設備における部屋です。
従来の特養と比べると専任スタッフの配置基準があり、手厚いケアを受けられます。
ユニット型個室的多床室
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
介護サービス費 | 2万100円 | 2万2,200円 | 2万4,450円 | 2万6,580円 | 2万8,650円 |
居住費 | 5万40円 | ||||
食費 | 4万3,350円 | ||||
合計 | 12万3,490円 | 12万5,590円 | 12万7,840円 | 12万9,970円 | 13万2,040円 |
ユニット型個室的多床室とは、多床室にパーテーションなどを設置し、個室のように作り替えた部屋です。
従来の多床室と比べると隣の方の音などは聞こえてしまいますが、1人の時間を過ごしやすくなります。
特別養護老人ホームの費用負担を軽減する2つの制度
特別養護老人ホームの入所時に利用できる費用負担軽減制度は、以下の2つです。
- 特定入所者介護サービス費
- 高額介護サービス費
それぞれの制度概要やどれほど負担が軽くなるかについて解説します。
制度①:特定入所者介護サービス費
特定入所者介護サービス費とは、認定段階に応じて食費と居住費の負担額を給付する制度です。
設定区分は、下表の5段階があります。
設定区分 | 対象者の条件 | 預貯金額※2 | |||
生活保護受給者等 | 市町村民税 | 本人の公的年金年収(※)+その他合計所得 | 老齢福祉年金受給者 | ||
第1段階 | 該当 | — | — | — | 要件なし |
— | 世帯全員が非課税 | — | 該当 | 1,000万円 (2,000万円) | |
第2段階 | 80万円以下 | — | 650万円 (1,650万円) | ||
第3段階① | 80万円~120万円以下 | 550万円 (1,550万円) | |||
第3段階② | 120万円以上 | 500万円 (1,500万円) | |||
第4段階 | 非課税 | — | 支給対象外 |
※2 ()内の金額は夫婦の場合に適用
段階に応じた負担限度額は、下表のとおりです。
食費 | 居住費 | ||||
従来型個室 | 多床室 | ユニット型個室 | ユニット型個室的多床室 | ||
基準費用額 | 4万3,350円 | 3万5,130円 | 2万5,650円 | 6万180円 | 5万40円 |
第1段階 | 9,000円 | 9,600円 | 0円 | 2万4,600円 | 1万4,700円 |
第2段階 | 1万1,700円 | 1万2,600円 | 1万1,100円 | 2万4,600円 | 1万4,700円 |
第3段階① | 1万9,500円 | 2万4,600円 | 1万1,100円 | 3万9,300円 | 3万9,300円 |
第3段階② | 4万800円 | 2万4,600円 | 1万1,100円 | 3万9,300円 | 3万9,300円 |
※30日あたりの金額
負担限度の認定を受けたい方は、お住まいの市区町村に申請しましょう。
引用元:介護サービス情報公表システム|サービスにかかる利用料
制度②:高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、月々の介護保険負担額を軽減する制度です。
設定区分は、下表の6段階があります。
設定区分 | 対象者の条件 | 月額負担上限額 | ||
生活保護受給者等 | 市町村民税 | 所得 | ||
第1段階 | 該当 | — | — | 1万5,000円※ |
第2段階 | — | 非課税 | 本人の公的年金年収+その他合計所得が80万円以下 | ・1万5,000円※1 ・2万4,600円※2 |
第3段階 | 第1および第2段階に該当しない | 2万4,600円※2 | ||
第4段階① | — | 課税所得380万円未満 (年収約770万円未満) | 4万4,400円※2 | |
第4段階② | 課税所得380万円~690万円未満 (年収約770万円~約1,160万円未満) | 9万3,000円※2 | ||
第4段階③ | 課税所得690万円以上 (年収約1,160万円) | 14万100円※2 |
※2 世帯に支給
世帯単位で上限が決められており、夫婦の場合は2人の利用料金を合算したうえで負担上限額と照らし合わせます。
複数名の介護が必要な世帯にとっても、安心できる減免制度といえるでしょう。
引用元:
まとめ:特別養護老人ホームの費用負担は比較的少ない
特別養護老人ホームの費用は他施設と比較すると安く、さらに減免制度も活用できます。
ただし、施設によっては具体的な金額は異なるため、入居前に必ず確認しておきましょう。
なお、弊社ゴールドエイジでは有料老人ホームやサ高住を運営しております。
特養だけではなく他の施設と比較検討したい方は、一覧ページでお近くの施設をご覧ください。
【関連記事】認知症向け介護施設一覧|入所にかかる費用や選び方のポイントも解説
【関連記事】【一覧表付き】有料老人ホームとサ高住の違い|おすすめな人の特徴も解説
【関連記事】【高齢者向け】リハビリ施設の種類一覧|費用や専門職による訓練内容も解説
この記事の監修
間井 さゆり
役職 | 内部監査室長 |
保有資格 | 介護支援専門員(ケアマネージャー) |
2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。