公開日:2024.08.05
更新日:2024.08.13

【要介護度別】もらえるお金はある?介護にかかるお金や支援制度も解説

【要介護度別】もらえるお金はある?介護にかかるお金や支援制度も解説

介護を継続するためには、身体面だけではなく経済的支援も必要です。
日々の生活に、サービス費やおむつ代などが積み重なり、家計の圧迫につながってしまうためです。
介護による経済的負担を軽減し、生活の質を維持するためにも、介護で使える制度について知っておくとよいでしょう。

この記事では、要介護認定を受けた場合にもらえるお金の有無や支援制度について解説します。
要介護認定の流れや認定者数の現状もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

要介護でもらえるお金はある?

要介護度の認定を受けた場合、厳密に言うともらえるお金はありません。
介護サービス利用時に、経済的負担を軽減してくれる制度がほとんどとなります。
制度の種類や概要は、下表のとおりです。

制度の種類概要
区分支給限度額介護サービス利用時に1~3割の自己負担額で利用できる
高額介護サービス費月の合計が負担上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される
紙おむつの支給や購入費用の助成自治体から紙おむつの現物支給や費用助成が受けられる
福祉用具のレンタル・購入にかかる費用の給付※1レンタル自己負担は費用の1~3割で、残りは介護保険による給付を受けられる
購入上限10万円として介護保険の給付が受けられる
リフォーム費用の支給※2補助金限度額を生涯20万円として介護保険から支給される
減税住宅特定改修特別税額控除により、所得税額から一定の金額を控除できる
障害者控除※3所得控除が受けられる
※1 要介護度によってレンタル可能な品目は相違あり
※2 補助金と減税は併用可能
※3 一定の要件を満たし障害者認定を受けた場合

直接的にもらえるお金はありませんが、制度をうまく活用すれば、介護にかかる経済的負担を軽減できます。
どの制度も、要件や申請方法などが異なるため留意してください。

介護にかかるお金や制度の詳細について知りたい方へ、要介護度別ごとに解説していきます。


【要介護度別】介護にかかるお金

介護の必要度は、以下の5つに区分されます。

  1. 要介護1
  2. 要介護2
  3. 要介護3
  4. 要介護4
  5. 要介護5

要介護度別に、受けられるサービスとかかるお金について見ていきましょう。


要介護1

要介護1では自立した部分があるため、自宅での生活が可能です。
1人暮らしで立案されるケアプラン例は、下表のようになります。

サービス種類利用回数
(1か月)
詳細自己負担額
訪問介護8回30分以上45分未満の生活援助※1,432円
訪問リハビリ4回20分以上1,228円
通所介護(デイサービス)4回6時間以上7時間未満
(入浴加算4回)
2,676円
福祉用具貸与1か月歩行補助つえ100円
合計5,436円
※掃除や洗濯などの家事支援

現在の身体機能を維持するためには、通所や訪問サービスの利用を含めたケアプランが必要です。
ご本人の希望に寄り添いつつ、要介護度を上げないための対策が求められるでしょう。

要介護1で利用できるサービス一覧や、金銭的負担を減らす方法を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】要介護1でもらえるお金はある?利用できるサービス一覧や希望別の選び方も


要介護2

要介護2では、身の回りのことに介助が必要な場面も多くなります。
ご夫婦2人暮らしを想定したケアプラン例は、下表のとおりです。

サービス種類利用回数
(1か月)
詳細自己負担額
訪問介護8回30分以上1時間未満の身体介護※3,096円
訪問看護4回30分未満2,066円
通所介護(デイサービス)8回6時間以上7時間未満
(入浴加算4回)
6,328円
福祉用具貸与1か月・歩行補助つえ
・据置手すり
300円
合計1万1,790円
※食事や排泄介助などの介護支援

要介護2では、自宅での安全対策や介護サポートがケアプランに増加します。
在宅での生活を続けるためには、転倒などの要介護度変化に直結する事故を防ぐ対策が重要です。

利用できるサービス一覧や金銭的負担を減らす方法を知りたい方は、下記の記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】要介護2でもらえるお金はある?利用できるサービスやよくある質問も解説


要介護3

要介護3では、生活において全面的な介助が必要となります。
ご家族と暮らす方のケアプラン例は、下表のとおりです。

サービス種類利用回数
(1か月)
詳細自己負担額
訪問介護8回30分以上1時間未満の身体介護3,096円
訪問看護4回30分以上1時間未満3,858円
通所介護(デイサービス)8回6時間以上7時間未満
(入浴加算8回)
6,808円
短期入所生活介護1回1泊2日3,148円
福祉用具貸与1か月・廊下手すり
・介護用ベッド
・車いす
2,400円
合計1万9,310円

介護負担が増加するため、ご家族のサポートも視野に入れたケアプランが立案されます。
要介護3では、介助で可能な生活動作もあるため、ご家族が介護を頑張りすぎてしまうケースも少なくありません。
介護する側とされる側の心身を守るためには、どれだけ介護負担の軽減を図れるかがポイントとなるでしょう。

要介護3で利用できるサービス一覧や、金銭的負担を減らす方法を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】要介護3でもらえるお金はある?状態像や利用できるサービス一覧も紹介


要介護4

要介護4では、日常生活で常に介護が必要です。
在宅で介護を続ける場合のケアプラン例は、下表のとおりです。

サービス種類利用回数
(1か月)
詳細自己負担額
訪問介護12回30分以上1時間未満の身体介護4,644円
訪問看護4回※130分以上1時間未満3,858円
通所介護(デイサービス)8回6時間以上7時間未満7,208円
訪問入浴4回5,688円
短期入所生活介護1回2泊3日2,586円
福祉用具貸与1か月・簡易トイレ※2
・介護用ベッド
・車いす
4,300円
合計2万8,284円
※1 要介護度の重さではなく、体調に比例して増回
※2 購入となり、自己負担額は1~3割

要介護度が上がると多くのサービスが必要となりますが、ケアプランは体力面を考慮して立案されます。
年齢や要介護度が上がれば、体力低下が顕著にみられるためです。

ご本人の体調によっては、サービスが実施できないこともあるでしょう。
ご家族の介護負担は増加するため、施設入所を検討する方も多くなります。
在宅介護では、身体と金銭面などあらゆるリスクを把握して、入所のタイミングを見極めることが重要です。

なお、弊社ゴールドエイジでは、要介護度の重い方にも対応した有料老人ホームを運営しております。
お近くの施設をお探しの方は、施設一覧ページをご覧ください。

利用できるサービス一覧や金銭的負担を減らす方法を知りたい方は、下記の記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】要介護4でもらえるお金はある?利用できるサービスや入所先の選択肢も解説


要介護5

要介護5では寝たきりになっているケースが多く、24時間の介護が必要です。
施設入所を検討する方のために、下表では介護費用を比較しています。

在宅介護特別養護老人ホーム
介護サービス費3万6,000円2万6,130円
居住費(水道・光熱費など)5万円※3万5,130円
食費4万円4万3,350円
日常生活費1万2,000円1万円
合計13万8,000円11万4,610円
※高齢者1人分の費用として算出

施設でも介護保険を使用してサービスを利用するため、支給限度額の範囲内であれば原則1割となります。
しかし、保険対象外の費用は施設によって違うため、注意が必要です。

一方、在宅介護を続ける場合には、生活環境を整えていく必要があります。
バリアフリー工事や福祉用具の購入など、一時的な出費は平均74万ほどといわれています。
介護度が上がれば必要な費用も増加するので、生活の質を維持できるか熟考することが大切です。

利用できるサービス一覧や金銭的負担を減らす方法を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】要介護5でもらえるお金はある?要介護4との違いや利用できるサービスも

引用元:


要介護認定の流れ

要介護度を認定するためには、心身の状態や生活環境などの調査が行われます。
認定調査の流れは、以下のとおりです。

  1. 認定申請
  2. 訪問員による心身の状態調査
  3. 主治医意見書とコンピュータによる一次判定
  4. 二次判定
  5. 要介護認定

訪問員による聞き取り調査の結果と主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定を実施し、二次判定に進みます。
要介護認定の判断には時間がかかり、結果が出るまでには一定の期間を要します。
必要なときにサービスを受けられないことがないように、早めの対策を心がけてください。

また、要介護認定には有効期限があります。
継続してサービスを受けるためには、認定更新が必要です。
ただし、認知症が進むなどの状態変化がみられた場合には、有効期限内であっても区分変更の申請が可能となります。

現在の生活を維持していくためには、必要なタイミングで適切な介護サービスを受けることが必須といえるでしょう。

引用元:厚生労働省|介護事業所・生活関連情報検索システム


要介護認定の現状

少子高齢化は進み続けており、今後の介護問題は深刻な状況です。
そこで、要介護認定の現状について、以下の2点を解説します。

  1. 認定者数
  2. 変化率

それぞれ詳しく見ていきましょう。


認定者数

認定者数とサービス受給者数の概要は、下表のとおりです。

令和5年令和4年
認定者数7,202万人7,147万人
受給者数5,500万2,000人5,404万8,000人
認定者数に占める受給者数の割合76.4%75.6%

介護認定を受けても、約2割の方がサービスを利用していないことがわかります。
つまり、早めに認定を受けて将来に備えている方もいるということです。

高齢者は体調を崩しやすい傾向にあり、介護が必要な状況は突然訪れます。
要介護認定は、サービス利用のために受けるものではなく、いかなる変化にも対応できるようにするための準備と考えましょう。

引用元:厚生労働省|令和4年度介護給付費等実態統計の概況


変化率

年間継続受給者の要介護状態区分を比較(※)した変化率は、下表のとおりです。
※令和4年4月と令和5年3月で比較

軽度化維持重症化
要介護11.9%76.2%21.9%
要介護26.0%75.7%18.3%
要介護37.1%76.0%16.9%
要介護49.3%80.5%10.2%
要介護59.0%91.0%なし

要介護度が確定しても、状態が変化して介護度が上がる方は多い傾向にあります。
軽度化や維持に向けて、あるいは将来的な重度化を防ぐためには、以下に挙げられるような事前準備が大切です。

  • リハビリ施設の利用
  • 入居先の早期選定
  • 今後について、ご本人の意思確認
  • ご家族間の役割確認
  • 介護制度の内容把握

先のことだからと悠長にかまえず、早めに対策しておくことが、精神的な余裕にもつながるでしょう。

引用元:厚生労働省|令和4年度介護給付費実態統計の概況


まとめ:要介護でもらえるお金はないが負担軽減策はある

要介護認定を受けても、直接もらえるお金はありません。
しかし、介護を受けながら生活するために、公的な負担軽減策は活用できます。
経済的負担の増加が日々の生活を圧迫する前に、各制度への理解を深めておくことが重要です。

なお、弊社ゴールドエイジでは、要介護の状態に合わせて選択できるよう、さまざまな形態の施設を運営しております。
施設入所を検討している方は、以下の一覧ページをご覧ください。

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この記事の監修

間井 さゆり

役職内部監査室長
保有資格介護支援専門員(ケアマネージャー)

2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。