『衣・食・住』から『医・職・住』へ

『恒産なければ、恒心なし』『衣食足りて礼節を知る』古い言葉ですがゴールドエイジにお住いの高齢者の平均年齢は、83.5才ですから、皆さん良くご存知ですね。
若い人のために一言で説明しますと、要するに、最低限度必要なものがないと、人は安心して生きていけないと言う事でしょう。苦しまぎれに悪い事もしてしまいますね。いつの世も同じでした。

さて戦後の『必要なもの』が、着る物と、食べる物と、雨露をしのぐ最低限の住宅でしたが、今は違いますね。ユニクロへ行けば900円のジーンズがありますし、世界中の海から美味しいマグロを集めて日本人は食べています。マクドナルドでは時間を決めてハンバーガーを捨てますから、ホームレスの人達も食べる物には困らないのです。住宅の数も日本の全世帯数をオーバーして2割以上多くなってしまいましたから、空家だらけですね。
また、今年は40年ぶりに住宅着工件数が80万戸以下になってしまいました。もう住宅の数はいらないのです。新築で建てる人達は、欧米並の高級で快適な住いの夢があるから、家を建てています。雨露をしのぐ家はもう誰もいらないですね。

さてさて、それでは今の私達に『最低限度必要なもの』は何んでしょう。私は『医・職・住』だと思います。今の日本ではこの3つが『不安だらけ』ですから安心して生活ができません。

①『医』とは、医療、看護、介護を含んでいます。3人に2人がガンになって、2人に1人が亡くなります。もっともっと早期発見と最新の治療が必要なのに、国は財政難ですから、医療に制限を加えます。国公立病院の8割は赤字経営ですから、病院側の運営にも問題が山積です。
介護は、もう待ったなしの緊急の問題なのに、政府の方針が定まりません。迷走していますね。今の状態では高齢者の数が多すぎて、運良く国の施設に入った人か、お金持ちの高齢者しか満足な介護は受けられないのです。私達の様な民間の小さな会社がいくら頑張っても、この不公平な国の仕組みを変えない限り、普通の高齢者の満足な介護は実現しません。

②『職』が今全然ありませんね。働きたくても仕事が無いのです。派遣の仕事で生活していた人も全て『派遣切り』です。求人倍率0.7ですから10人に7人しか仕事がありません。しかし逆に介護関係は2.5倍ですから、介護の仕事が25人分あるのに、10人しか働いてくれません。キツくて安い仕事ですし、高齢者の数が多すぎて、介護の仕事をする人が全く足らないのですね。どっちも異常な状態の『職』ですから、不安だらけで『恒心も礼節も』なくなるのです。

③『住』の数はあまっていますが、まともに幸せに住める家がありません。日本には築30年以上の木造の古屋が4割もあって、65才以上の高齢者の持家率は80%ですから、そのほとんどが『高齢者の住い』なんですね。これはもう最悪です。古いお風呂ではヘルパーも介護できません。段差だらけの敷居でつまずいてこけると、入院です。しかし一度入院するともう社会復帰ができません。

恐ろしい事ばかり書いてしまいましたが、これが現実です。ですから私はこの『医・職・住』の仕事に真剣にかかわって、ゴールドエイジを少しでも世の中のお役に立てるために運営したいと考えているのです。