『ゴールドエイジ』に未来はあるか…?

『介護付高齢者住宅』。と言うと私は県の福祉部からお叱りを受けます。ゴールドエイジはあくまで、『介護も受けられる高齢者住宅』なんですね。

100万人の待機者がいる老健、特養、療養型の施設は、おじいちゃんが入っても、おばあちゃんは一緒に施設に入れませんね。そして介護付の有料老人ホームは将来の介護が心配でも、自立の高齢者は入居できません。夫婦のどちらかが『要介護』にならないと、多額の入居金を払っても入居はさせてもらえませんね。
と言う事で国は2006年12月から『高齢者専用住宅制度』。2007年4月から『老人ホームの改正』をして介護も受けられる『高専賃住宅』をスタートさせたのです。
私もこれには大賛成でしたから、私の人生の後半をこの仕事に捧げました。そして、満3年が経過したのです。一言で言って全国の高専賃経営は100件中90件が赤字で失敗しています。
国もこの制度は『失敗』だったと認めているでしょう。その証拠は、2010年、今年の6月30日で全ての高専賃住宅(1228ヶ所、3万770戸)のデータが抹消されます。そして新しい基準で再登録が始まります。しかしゴールドエイジはただの高専賃ではなく、基準の高い『適合』高専賃ですから、新しい基準通りです。問題は何もありません。しかし全国の3万件以上の高齢者の住宅は大変ですね。一体どうなるのでしょうか。

さて失敗の原因は2つでした。

①食堂や共同風呂などの広さに基準がなく、介護などがしっかりできない建物がたくさんあったのです。これでは介護や医療の必要な高齢者の住宅とは言えませんね。若い独身者のアパートと同じでは、そもそも高齢者は生活できません。国もこれはまずかったかなー。と反省しているでしょう。

②そしてもう1つは、今は元気でも、介護が必要になったら、この家を出て下さい。では高齢者の住いとは言えないですよね。やはり夜間の介護や、いつも24時間ヘルパーがいないと心配ですね。ですから国は今回、しっかりとした介護ができる住宅の新しい基準を作りました。

と言う事で、建物はこれで安心ですが、あとは介護と看護と医療をどう整備するかです。これはこれからの話しですが、厚労省が中心になって今検討中です。たとえば、高専賃での介護はすべて赤字で運営しています。夜間の介護のヘルパーなどは、マッカッカ(真赤赤)の大赤字で運営するのですが、これではどの会社も倒産です。やれませんね。
ですから、有料老人ホーム(特定施設)と同じ様に、マルメの介護報酬を検討しています。マルメとは、今のゴールドエイジの30分単位の介護ではなく、1ヶ月単位の計算にしましょう、と言う事です。そうすれば、必要な時に必要な人への介護できますから、30分単位でこまかく決めることはありません。
そして介護の売上(介護報酬)も2倍から3倍に上るのです。売上や収入が、2倍3倍になれば高専賃の赤字はなくなりますから、高齢者のお世話がしたいと思う民間の会社が増えますね。これで日本の高齢者対策はうまく行くのです。
今は特定施設(有料老人ホーム)と比べて、同じ人件費と経費を使って約1/5以下の収入しかないのがゴールドエイジの実態ですから、どこの会社も赤字で運営ができないのですね。

いいと思ってやった事でも、3年間が経過して、失敗して、国は見直しを始めています。
ゴールドエイジの高齢者のお世話の仕方が、私は一番いいと思ってやっているのですが、その結論は今は出ません。あとまた3年たって、入居者やご家族に『良かったね』と言っていただけることを信じて、もう少し私は頑張りましょうか…。