認知症は治らない…。

私の母親は今年82才になりました。苦労して男の子3人を育てて、働き続けた人生でしたね。私は長男で59才になりましたが、幼い時からそんな母親を見ていて、『ド根性カアチャン』だと関心してました。少し考えが足りないのですが、強情で執念深く、何にでも頑張る人でした。
しかし今一緒に生活していますが、5分前に言った事を忘れています。トイレがすぐ近くにあるのに自分の部屋がトイレ(?)だと思っているのでしょうか、夜は正式なトイレを使ってくれません。朝ドアを開けると、家中が臭くなるのですね。

私は高齢者のお世話を5つの県で621人分運営しています。『ゴールドエイジ』の建物が10棟あるのですが平均年齢は『83才』です。認知症のおじいちゃん、おばあちゃんは、たーくさんいますね。もう大変なんです。 社員のヘルパーさんは、ご家族でもできないお世話を24時間、夜中までやっています。仕事ですから頑張るのですが、『認知症』だけは非常に辛い仕事だと言うのです。何故かと言うと、いくら頑張っても『忘れて』いるから『反応』が無いのです。『ありがとうね…』の言葉が無いのです。
この言葉が聞けないと、ヘルパーは辛いんですね…。お分かりいただけますでしょうか。それが『認知症』です。ウンチを投げる人、ウンチを食べる人もいるのです。これは人間として本人も私達も、一番辛いことで、耐えられない現実でした。しかし『認知症は治らない…。』も現実でした。私も諦めていました。認知症になったらもうどうしようもないんだと考えていましたね…。

しかしテレビを見ていてびっくり。イギリスで『認知症を治す薬』が発見されて、言葉も忘れて、話しのできないおじいちゃんが、なんと、楽しく散歩して近所の人達と普通に会話しているのです。本人も以前の自分と比べて、人生が変わったと嬉しそうにインタビューに答えていましたね。
認知症は大きく5つに分かれています。脳の神経細胞が死んでゆく『アルツハイマー』が56%。無い物が見えたり、聞こえたりの幻視・幻聴などの『レビー小体型』17%。脳の中心に水がたまって圧迫していて言葉が出なくなる症状などの『正常圧水頭症』5%。歩幅が極端に狭く、曲がったり回転の時などに足がもつれたりの『前頭側頭葉変性』7%。血管異常の『脳血管性』10%ですね。
イギリスのはアルツハイマーの薬で、今年の臨床試験が終われば、来年には薬として発売です。すぐに調べてみましたが、日本でも今4つの新薬が来年承認され発売されそうです。今はたった1つしか認知症の薬がないのに劇的な進歩ですね。
又、びっくりしたのは、56%の一番大変なアルツハイマーが発症までに20年かかることが発見された事です。70才で認知症になる人は50才の時に分かるのです。特種な薬を脳に入れて、癌の発見に使う『ペット』で写真を撮って『アミロイドベータ』と言うタンパク質が発生していれば認知症になる事が分かったので、そのタンパクを消す薬が発見されたのですね。これで予防ができますから、認知症は近い将来無くなるのでしょう。劇的な変化ですね。私はもう嬉しくて、感動しています。

『認知症専門医』をさっそく探し始めましたが、これもびっくり。ほとんどいません。専門医がいないのです。しかし私は諦めないで探します。こうなったらイギリスでもアメリカでも、どこへでも行くと決心しています。