【高齢者住宅】『PPK』と『NNK』と健康寿命

『健康寿命』という言葉をご存知でしょうか。健康寿命とは健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間です。健康寿命が尽きたとき人は自立して生活できず介護者の力が必要となります。つまり平均寿命-健康寿命=寝たきりや認知症などで介護がなければ生きることが困難な期間となりますね。

2001年のこの平均寿命と健康寿命の差は男性で8.7年。女性で12.3年。なんと平均10年以上日本人は自立して生きられないという結果でした。

しかし2010年の結果は健康寿命は増えたのに平均寿命が増えたことによって、男性9.1年。女性12.7年になってしまって、要介護期間がさらに伸びてしまいました。残念というか皮肉な結果ですね。

私も含めて高齢者はPPK・ピンピンコロリを願うのですが、この結果を見ると日本人の平均は10年以上のNNK・ネンネンコロリとなってしまいます。もう神様・仏様にお願いするしか方法がありませんから『ピンピンコロリ地蔵さん』へのご祈願がブームになっているんですね。この気持ちは私にも十分に理解できます。

私自身の希望はPPKですが、ピンピンコロリは医学的にいうと『突然死』ですから、これは困ります。
突然に死んでしまうと、最後の挨拶もできませんし、家族へ言い残したいことも言えずに多くの悔いが残りますね。まあ一週間ぐらいのPPKが理想ですがそう上手くはいかないでしょう。

その理由は年間120万人がお亡くなりになるのですが90%の108万人が病院で最期を迎えられます。日本には尊厳死という制度がありませんから、病院の使命目的は『延命治療』となります。意識のはっきりしない人が数ヶ月、数年間の延命治療で生きながらえているのが日本の特色ですね。考えてみれば日本は平穏死ができにくい国だということですね。

本当に目指すべき最期は『平穏死』で、生命の終わりに無理な延命を行なわず、人間としての尊厳を保ちながら穏やかに旅立つこと…ではないでしょうか。

私も死ぬ間際になれば何を言い出すか分かりませんが、今は一応できれば平穏死を希望いたします。病院に入ってしまうとそれはできませんし、延命治療の薬づけと、5本10本の管で体中がいっぱいになることだけは避けたいと希望します。

やはり病院以外ならゴールドエイジが良さそうですね。施設ではなく自宅で住宅なのがサ高住(介護サービス付き高齢者賃貸住宅)です。病院がいいのか、施設がいいのか、住宅がいいのか…。

自分で決められるのが幸せというか、日本は平和というか、ありがたいことなんだと思います。1950年・昭和25年頃は90%の高齢者が自宅でお亡くなりになっていました。逆にいうと医療も十分に受けられずご自宅で亡くなるしかなかったのだと思います。

これからは日本も欧米並に住宅と病院で50%ぐらいずつのお亡くなりになるのが良いのではないでしょうか。私はそう思います。尊厳死の制度のない日本ですが、私達高齢者が早い時期に病院か施設か住宅かを決めておいて、それをご家族に伝えておかないといけません。

知らされていないとご家族は選択の余地がなく、日本の病院の延命治療だけになってしまいますね。

生命の終わりの旅立ち問題は難しいものですね。病院での家族の延命治療を見ることは人生最大の耐えられない苦しみですし、治療されている本人も意識がある限り治療の苦痛に耐え続けなければなりません。

治療によって生き続けることほど苦しくて辛くて悲しいことはありませんね。運命だと思って諦めるしかないのでしょうか…。