ゴールドケア事例
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作って、売れて、嬉しくて!地域交流で生まれた「ゴールドエイジ白子工場」
- 掲載日:2025.11.25
- 更新日:2025.12.22
今回は、ご自身の経歴や得意なことを活かすことで、入居当初は意欲を失っていたご利用者様が再び生きる喜びを取り戻し、ホーム全体、そして地域との交流のきっかけとなった、ゴールドエイジ白子での取り組みをご紹介します。
目次
陶芸家のD様
D様は、ご自宅で認知症の奥様の介護をされていましたが、ご自身の体調不良での入院を経て、ご夫婦でこのホームに入居されました。入居当初から、筋力の低下に加え、意欲の低下が著しく、心身ともに活力を失っていらっしゃいました。
「先生」としての再出発
ある日、D様が「昔、陶芸教室の先生をしていた」という経歴をお持ちであることがわかりました。
「先生として、皆さんに陶芸を教えていただけませんか?」
私たちの提案を聞いたD様の表情は、一気に明るくなりました。
「それなら家に素焼きが沢山余っているから絵付けしよう!」
即座に快諾してくださったD様。その日から、毎日陶芸の話題を生き生きとお話されるように。そして、これまで消極的だった体操や、他の入居者様との交流にも積極的に参加されるようにもなりました。
陶芸教室の開催
イベント当日、D様がかつて指導されていた生徒様7名が応援に駆けつけてくださいました。デイサービスの利用者様を含む24名が参加し、教室は活気に満ち溢れました。
普段は「Dさん」と呼ばれていますが、この日は元生徒たちから「先生」と呼ばれ、自然と背筋が伸び、いきいきとした表情で各テーブルを回られていました。
作品の焼き上がりを待つ間も、D様は生徒様に焼き方の指示を細かく出し、完成品が届くと一つひとつを手に取り、真剣な眼差しで入念にチェックされていました。
私たちは正直、「すべてをやりきって燃え尽き症候群のようになってしまわないか」と心配していました。しかし、そんな心配をよそに、ご本人は「2回目もぜひ実施したい」と意欲的です。
さらに、D様ご自身から「盛大にやろう。新聞社でも呼んでみたらどうだ」という提案があり、実際に新聞社に問い合わせたところ取材が実現。後日、新聞記事として掲載されると、ご本人はもちろん、他の入居者様からも「すごいじゃないか!」と歓声が上がりました。
「ぐーたら」さんとの出会い
陶芸教室の開催にあたり、生徒様のための駐車スペースが不足したため、隣接するハンドメイド雑貨店の「ぐーたら」さんに駐車場をお借りできないかお願いしました。ゴールドエイジ白子から徒歩わずか30秒という至近距離にある、地域住民の憩いの場です。
この接点を機に、「ぐーたら」さんとの間で良好な関係が築かれ、新たな協働の機会が生まれました。
夏祭りで世代を超えた交流
「ぐーたら」さんが主催する夏祭りに際し、店長さんから「入居者の方から子どもたちに、お手玉など昔の遊びを教えてもらえませんか?」というご依頼をいただきました
当初、入居者様からは「子どもを泣かせてしまわないか」「ちゃんと教えられるだろうか」といった不安の声が上がりました。しかし、最終的には3名の方が、参加協力してくださいました。
イベント当日、入居者様は子どもたちにお手玉やあやとりを優しく教え、世代を超えた温かい交流が生まれました。
「行ってよかった。疲れたけど、やっぱり子どもは可愛いな」
ホームに戻った後の表情は、達成感と喜びに満ちていました。
Y様の作品が売れた日
その後も「ぐーたら」さんとのつながりは続きます。
Y様(89歳)は、手芸を趣味とされており、その作品は他の入居者様やスタッフから「売れそう」「欲しい」と絶賛されるほど高品質なものでした。
私たちは、「ぐーたら」さんでの作品販売を計画しました。当初、Y様は遠慮気味な様子であった反面、若干の期待も感じられました。
Y様ご本人、ご家族、そして「ぐーたら」の店長さんとゴールドエイジスタッフが話し合いを重ね、全員が納得できる形で計画を進め、ついにY様の作品がお店の棚に陳列される日を迎えました。
数日後、店長から「3点売れましたよ」という連絡が入ったことをお伝えすると、Y.T様は大変驚かれると同時に、とても喜んでおられました。
自分の作品を見てもらい、気に入ってもらい、購入してもらう。この体験は、Y様の「やる気」を刺激し、自信を取り戻すきっかけとなったように思います。
「ゴールドエイジ白子工場」の誕生
Y様の成功は、他の入居者様にも大きな影響を与えました。
ゴールドエイジ白子では、月に一度「生活向上委員会」を開催しています。入居者様がより良い生活環境を共に創り上げるこの場を通じて、週に1度の「パンとコーヒーの日」の設定や、共有スペースへの共用血圧計の設置、「小さな図書館」の開設など、様々な改善が実現しています。
Y様の店頭販売の後、委員会で、「自分たちも何か作品を作って販売してみたい」という声が上がりました。
しかし、「一人で全ての工程をこなすのは難しい」という現実的な課題がありました。話し合いの中から、「自分ができる工程をそれぞれが担当し、みんなで協力して一つの作品を完成させよう」という、アイデアが生まれました。
こうして誕生したのが「ゴールドエイジ白子工場」です。
最初の製品として、「ヘアゴム」の制作を決定。制作プロセスは、各人の得意分野を活かした分業体制です。
制作中、皆様は「買ってくれるといいな」と期待に胸を膨らませながら、それぞれの工程に熱心に取り組まれていました。
完成したヘアゴムは「ぐーたら」さんに陳列していただき、その後「1ヶ月で2点が売れています」との連絡をいただきました。この成功を受けて、現在では2作品目の制作を検討しており、「ゴールドエイジ白子向上の」活動は今も続いています。
一つのきっかけから始まった地域交流
D様の陶芸教室という一つのきっかけが、近隣店舗「ぐーたら」さんとの交流を生み、Y様の作品販売、そして多くの入居者様を巻き込んだ「ゴールドエイジ白子工場」という、さらに大きなつながりへと広がっていきました。
この連鎖によって、ゴールドエイジ白子には、入居者様が社会と繋がり、主体的に活動に参加する温かい日々が生まれました。そして、入居者様だけでなく、私たちスタッフにも伝播し、ホーム全体を明るい笑顔で満たしています。
これからも、入居者様お一人おひとりの可能性を信じ、地域社会と共に歩む取り組みを続けてまいります。