公開日:2024.04.22
更新日:2024.04.23

認知症向け介護施設一覧|入所にかかる費用や選び方のポイントも解説

認知症向け介護施設一覧|入所にかかる費用や選び方のポイントも解説

認知症になると以前できていたことが難しくなるため、ご本人もご家族も今後の生活に大きな不安を抱えるケースが多々あります。

時期を見て介護施設への入所を検討したいものの、「どのようなところに入れるのだろう」「認知症状が進んでいても入れるのか」など疑問を持つ方もいるでしょう。

この記事では、認知症でも入れる施設の種類や費用について解説します。

ご本人が入所を嫌がる場合の対処法や、施設側に断られた場合の対応についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

認知症向け介護施設の種類

認知症でも入れる介護施設の種類と対象者は、下表のとおりです。

種類対象者
特別養護老人ホーム・要介護3以上の認定を受けている65歳以上の高齢者(※1)
・環境や経済的理由により家での生活を続けられない方
有料老人ホーム多くは60歳または65歳以上の高齢者
グループホーム・要支援2、要介護1以上の介護認定を受けている65歳以上の高齢者(※2)
・医師から認知症の診断を受けている方
サービス付き高齢者向け住宅・60歳以上の単身・夫婦世帯
・要介護、要支援者認定を受けている40歳以上の方
※1 要介護2以下でも入所できる場合があるが、市町村への相談が必要
※2 事業所がある市町村に住民票がある方

それぞれについて詳しく解説します。


種類①:特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(特養)は地方公共団体や社会福祉法人が運営する、介護の必要性が高い高齢者を対象とした施設です。

比較的費用が安いうえ、看取りまで行ってくれるため、要介護3以上であれば第一選択肢として挙げられやすい傾向にあります。

介護スタッフの配置状況やサービス内容は、下表のとおりです。

スタッフの配置状況・介護スタッフが24時間常駐
・看護師は日中常駐、夜間は呼び出し対応が多数
サービス提供内容・介護(入浴、食事、排泄)
・日常生活支援
・機能訓練
・健康管理及び療養上の支援

スタッフの配置やケアの内容も充実している分、希望者が多く、入所までに1年以上待つケースもあります。

将来的に在宅介護の負担が大きくなりそうな場合は、必要になったときスムーズに入所できるよう、早めに相談しましょう。

引用元:厚生労働省|2020年介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)


種類②:有料老人ホーム

有料老人ホームはおもに営利法人が運営する高齢者のためにある住居で、サービス内容により以下の3つに分かれています。

介護付き住宅型健康型
スタッフの配置状況介護スタッフが24時間常駐(看護師は施設で相違あり)施設で相違あり必要時配置
サービス提供内容・介護
・生活支援
・食事や環境整備などの生活支援
・介護が必要な場合は外部事業所に依頼
食事の提供などの生活支援

介護付きと住宅型は認知症の方も入居できますが、施設によってサービスに違いがあるので事前の情報収集が大切です。

引用元:厚生労働省|2014年介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて


種類③:グループホーム

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)はおもに営利法人が運営し、認知症利用者が共同で生活するための住居です。

5人以上9人以下の共同生活で、地域住民と交流しながら能力に応じて自立した日常生活が送れるようケアを提供しています。

グループホームの人員配置やサービス提供内容は、下表のとおりです。

スタッフの配置状況・介護スタッフは24時間常駐
・看護師が常駐かどうかは施設で相違あり
サービス提供内容・入浴、排泄の介助
・食事の提供、介助
・日常生活支援
・機能訓練

なお、地域密着型サービスのため、入居対象は「事業所がある市町村の方」となる点に留意しましょう。

引用元:厚生労働省|2023年認知症対応型共同生活介護(認知症型グループホーム)


種類④:サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、営利法人が運営している賃貸などの住宅です。

基本的に自立した方が対象であり、バリアフリー対応の住居で自由度の高い生活を送れます。

スタッフの配置状況とサービス内容は、下表のとおりです。

スタッフの配置状況ケアの専門家(※)が少なくとも日中常駐
サービス提供内容安否確認、生活相談
※養成研修修了者、社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所等のスタッフ、医師、看護師、准看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員

サ高住は年々増加しており、対象者の幅も広がりつつあります。

しかし、認知症の方を受け入れているかは施設によって異なるため、入所を希望する場合は認知症の状態を伝え、早めに相談することが大切です。

なお、弊社ゴールドエイジでは多様なサ高住を運営しております。

他利用者と共同生活が送れる状態であれば、認知症の方も入居可能です。

実際に認知症の入居者さまは年々増加しており、現在も館によってはおよそ10〜25%が認知症の方です。

認知症向け介護施設をお探しの方は、施設一覧ページでお近くの施設をご覧ください。

引用元:一般社団法人高齢者住宅推進機構|2017年11月サービス付き高齢者向け住宅(事業者用パンフレット)


認知症向け介護施設の入所費用

認知症向け介護施設の費用は、介護保険を利用し支払うものと自費で支払うものがあり、地域や運営団体によって異なります。

ここでは、以下の2つを解説します。

  1. 費用の内訳
  2. 費用相場

それぞれ詳しく見ていきましょう。


費用の内訳

認知症向け介護施設の入所にかかる費用の内訳は、以下のとおりです。

  • 介護サービスにかかる費
  • 施設サービス費
  • 居住費
  • 食費
  • 日常生活費

施設の種類や運営団体によっては、入居の際に入居一時金を支払うケースもあります。

なお、介護サービスにかかる費用は、介護保険の利用により1割負担(※)です。

※一定以上の所得がある場合は、2割または3割

介護度によって介護サービスを受けられる額に限度が設けられており、限度額を超えると自己負担金が発生してしまうので覚えておきましょう。


費用相場

認知症向けの介護施設にかかる費用の相場は、下表のとおりです。

種類入居金月額費用
特別養護老人ホームなし5~16万円
介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円
住宅型有料老人ホーム0~数百万円10~25万円
グループホーム0~数十万円10~20万円
サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円(※)12~25万円
※サービス付き高齢者向け住宅は敷金

都市部と地方では地価の等級に差があるため、都市部の方が入所費用は高くなります。

ほかにも施設の運営団体やご本人の介護度により、費用は変わってきます。

費用面の確保が難しく老人ホームの入所を検討できないなら、利用者負担軽減制度の利用が可能か、市区町村の担当課へ相談しましょう。


認知症の方が入る施設の選び方

認知症向け介護施設の選び方は、以下の3つです。

  1. ご本人が望む生活を明確にする
  2. 介護体制をチェックする
  3. 実際に訪問してみる

それぞれ詳しく見ていきましょう。


選び方①:ご本人が望む生活を明確にする

認知症の方が入る介護施設を選ぶ際は、ご本人が望む生活を明確にしたうえで、その形にどれだけ近づけるかを考えることが大切です。

具体的には以下に挙げる事項を1つひとつ丁寧に確認し、ご本人の希望を言語化します。

  • 家から近い場所がよいか
  • 個室と大部屋、どちらがよいか
  • 何かやりたいことはあるか(絵画、将棋など)
  • 部屋の向き(日当たりの程度など)に希望はあるか
  • にぎやかな雰囲気と静かな雰囲気、どちらがいいか など

どのような視点で施設を選べばよいのかがはっきりする分、ご本人に合った施設を見つけやすくなるでしょう。


選び方②:介護体制をチェックする

認知症向け介護施設を探す際は、介護体制もチェックしましょう。

スタッフの配置状況が違えば、支援の充実度もおのずと変わってくるためです。

常にケアの専門家が見守っていてくれる環境であれば、安心してご家族の介護を任せられます。

また、医師や看護師といった医療体制を把握しておくことも大切です。

高齢者の多くは疾患を複数持っており、季節や環境の変化に対応しきれず体調を崩しやすい傾向があります。

体調変化時も施設内で対応してくれるか、あるいは病院と十分連携を取ってくれるかなども確認しておきましょう。


選び方③:実際に訪問してみる

認知症向けの介護施設は、実際に訪問したうえで比較検討することも大切です。

具体的には、以下について実際に目で見てチェックしましょう。

  • スタッフや入居者の表情は暗くないか
  • スタッフの入居者への接し方は丁寧か
  • 入居者同士の関わりはあるか
  • 入居者はどのように過ごしているか
  • 室温や換気などの環境は整備されているか
  • 施設内は整理整頓されているか

たとえば、パンフレットの写真では清潔で明るい雰囲気を感じられたものの、実際に訪問してみると施設内が乱雑で、入居者の表情が暗いといったケースもあります。

前述した「ご本人の希望する生活」を実現できるか、見学や体験利用を通じて得た感覚も判断材料にしましょう。


認知症向け介護施設によくある質問

認知症向け介護施設によくある質問は、以下の2つが挙げられます。

  1. 入れないときはどうしたらよい?
  2. ご本人が入所を嫌がるときの対応は?

対策がわからない方は、ぜひ参考にしてください。


質問①:入れないときはどうしたらよい?

施設の入所を断られて入れないときは、まず理由を確認しましょう。

入所できない理由として多く挙げられるものとその対処法は、下表のとおりです。

理由対処法
入所基準を満たさない入所基準に必要な以下の内容を確認する
・年齢(多くは65歳以上)
・介護度(要支援、介護認定)
・認知症
医療ケアが多い(定期的に注射する、処置があるなど)専門家(※)に相談し、医療ケアが多くても入所できる施設を探す
暴言や暴力をふるう専門家(※)に相談し、暴言暴力にも対応できる施設を探す
部屋の空きがない施設の選択肢を広げる(地域、規模など)
※ケアマネージャーや地域包括支援センターなど

入所できない理由が明確になれば対処法も探せるため、自分たちだけで抱え込まずに助けを求めるようにしましょう。


質問②:ご本人が入所を嫌がるときの対応は?

ご本人が入所を嫌がる場合も、理由を明確にしたうえでしっかり向き合いましょう。

理由としてよく挙げられるものは、以下のとおりです。

  • 家族に見捨てられるという不安がある
  • 慣れ親しんだ環境を離れる不安がある
  • 老人ホームにネガティブな意識を持っている
  • ご自身の変化を受け入れられない

歳を重ねてから住み慣れた場所を離れ新しい環境に移るというのは、誰もが不安に思うものです。

不安な気持ちが連鎖してますます拒否が強くなる前に、以下の対処法を試してみてください。

  • ご本人に元気でいて欲しいとの想いを伝え続ける
  • 日帰りや短期入所などホームでの生活を試してみる
  • 医師に相談する

ご本人が入所を嫌がるときは、焦らずご本人の気持ちに寄り添うことが大切です。


まとめ:親の施設入所は少しずつ検討しよう

認知症の方が入れる介護施設は4種類あり、それぞれスタッフの配置やサービス内容などが異なります。

介護施設を探す際はご本人の気持ちを第一に考えたうえで、安全・安心な生活を送れる場所をじっくり選定していきましょう。

なお、弊社ゴールドエイジでは、認知症に悩む多くの方に寄り添ってケアを提供しています。

いつも笑顔で過ごせるよう充実した設備とサービスでお迎えしますので、認知症でも入れる施設をお探しの方は、施設一覧ページをご覧ください。