公開日:2024.04.22
更新日:2024.06.04

【高齢者向け】リハビリ施設の種類一覧|費用や専門職による訓練内容も解説

【高齢者向け】リハビリ施設の種類一覧|費用や専門職による訓練内容も解説

退院後に身体機能の低下を防ぐためには、リハビリを継続することが大切です。

しかし、リハビリを受けられる場所がわからず、退院後の生活がイメージできない方もいるでしょう。

この記事では、退院後にリハビリが受けられる施設の種類や費用について紹介します。

施設に配置される専門職の訓練内容やリハビリが重要な理由も解説するので、ぜひ参考にしてください。

退院後に利用できるリハビリ施設の種類一覧

退院後に利用できるリハビリ施設は、以下の3つに大別されます。

  1. 入所系サービス
  2. 通所系サービス
  3. 訪問系サービス

それぞれのサービス内容について紹介します。


種類①:入所系サービス

入所系サービスの中でリハビリが受けられるのは、以下に挙げる3つの施設です。

  1. 介護老人保健施設
  2. 有料老人ホーム
  3. 特別養護老人ホーム

それぞれ詳しく見ていきましょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、介護が必要な高齢者の在宅復帰を目指す施設です。

理学療法士や作業療法士をはじめとした専門職によって、以下のようなリハビリを受けられます。

  • 在宅復帰に向けて自宅を想定した動作練習
  • 言語訓練
  • 退所後の環境調整 など

また、以下のような多様な職種が配置されているため、医学的管理や日常生活のケアも充実しています。

  • 医師
  • 看護師
  • 介護福祉士
  • 管理栄養士 など

対象者は、要介護1〜要介護5の介護認定を受けており、入院や専門的な治療が不要で病状の安定した方です。

在宅復帰に向けてリハビリを継続したい場合は、介護老人保健施設への入所を検討しましょう。

有料老人ホーム

有料老人ホームは高齢者が心身の健康を保ちながら、安定した生活を送るための施設です。

以下の3種類に分けられ、利用者の状況やニーズによって選択できます。

種類特徴
介護付き有料老人ホーム施設内で介護サービスが提供され、機能訓練や健康管理も行われる
住宅型有料老人ホーム日常生活の支援が提供され、介護サービスなどは外部サービスを利用する
健康型有料老人ホーム介護を必要としない自立した高齢者が利用する

施設内でリハビリが受けられるのは、主に介護付き有料老人ホームです。

機能訓練指導員と呼ばれるスタッフが配置され、リハビリの計画立案や実施を担当します。

機能訓練指導員はリハビリ専門職だけではなく、以下の職種でもできます。

  • 看護師・准看護師
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師

なお、機能訓練指導員が行うリハビリ内容は、下記のとおりです。

  • 個別での運動
  • 集団での体操
  • レクリエーション など

また、住宅型有料老人ホームでは、必要に応じて通所や訪問でのリハビリが利用可能です。

通所・訪問でのリハビリについては、後述の「種類②:通所系サービス」「種類③:訪問系サービス」を参考にしてください。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、介護度が高くなり在宅での生活が難しくなった高齢者が、日常生活で必要な介護を受けながら生活するための施設です。

介護付き有料老人ホームと同様に、機能訓練指導員が配置されています。

介護老人保健施設のように1対1でリハビリを実施する時間は少なく、機能訓練指導員が策定した計画のもと、多職種で協力しながら取り組みます。

具体的には、できるだけ自分の力で動くよう介助方法を工夫したり、生活環境を調整したりします。

機能訓練そのものよりも、自分でできることを継続して、少しでも活動量を高める「生活リハビリ」が重視されているといえるでしょう。


種類②:通所系サービス

通所系サービスには、デイケアとデイサービスの2種類があります。

デイケア(通所リハビリ)デイサービス(通所介護)
リハビリ内容身体機能や認知機能の維持・向上を目指し、専門的なリハビリを受ける日常生活の支援を受けながら、機能訓練やレクリエーションに取り組む
リハビリ専門職の配置必須必須ではない

デイケアでは医師や看護師も配置されており、医療的側面が強く、専門性が高いリハビリが特徴です。

一方、デイサービスでは看護師が機能訓練指導員としてリハビリを実施するケースもあります。

通所系サービスを選ぶ場合は、リハビリ専門職による訓練を希望するか否かを踏まえて検討しましょう。


種類③:訪問系サービス

訪問系サービスは、下表の2種類があります。

訪問看護訪問リハビリテーション
リハビリ専門職の配置ありあり
スタッフの配属先訪問看護ステーション病院、クリニック、介護老人保健施設

2つとも基本的なサービスに違いはありませんが、スタッフが配属される事業所が異なります。

なお、訪問系サービスで受けられるリハビリ内容は、以下のとおりです。

  • 健康チェック
  • 身体機能改善のリハビリ(ストレッチや筋力トレーニングなど)
  • 日常生活動作の練習
  • 自宅内外での歩行練習
  • 介助方法の助言
  • 環境調整の助言
  • 調理や趣味活動の練習

訪問系サービスの魅力は、実際に日常生活を送っている環境でリハビリができる点です。

実情に即して、介護者への助言や自主トレーニングのアドバイスができます。

住み慣れた自宅で、より実践的なリハビリがしたい場合は、訪問系サービスの利用を検討しましょう。

以上のように退院後でもさまざまな施設、サービスでリハビリを続けられます。

退院後にリハビリが継続できる施設をお探しの方は、下記の施設一覧ページをご覧ください。


リハビリ施設にかかる費用

入所系のリハビリ施設にかかる費用の一覧は、下表のとおりです。

種類費用の目安
介護老人保健施設9万円〜15万円
介護付き有料老人ホーム10万円〜30万円
特別養護老人ホーム10万円〜20万円

入所系サービスのうち、介護付き有料老人ホームは民間施設で、ほかの2施設が公的施設になっています。

民間施設ではサービスや設備を充実させている施設も多く、料金が高めです。

一方、通所系サービスのデイケアやデイサービスは介護報酬により料金が決められています。

たとえば、要介護3で通常規模(※)の通所系サービスを7時間以上8時間未満で利用した場合、基本料金は下表のとおりです。

※1月当たり平均利用延人員数が750名以内

種類基本料金(負担割合が1割の場合)
デイケア約900円/回
デイサービス約1,046円/回

医療専門職によるサービスが充実しているデイケアの方が、料金が高くなっています。

また、訪問系サービスの場合、要介護で20分のサービスを受けるときの料金は下表のとおりです。

種類基本料金(負担割合が1割の場合)
訪問看護約314円/回
訪問リハビリテーション約308円/回

訪問系サービスはほかのサービスにくらべると差が大きくない分、費用面が施設選択時のネックになることは少ないでしょう。


施設に配置されているリハビリ専門職

施設に配置されているリハビリ専門職は、以下の3職種です。

  1. 理学療法士(PT)
  2. 作業療法士(OT)
  3. 言語聴覚士(ST)

それぞれの訓練内容を詳しく紹介します。


専門職①:理学療法士(PT)

理学療法士は病気や障害により低下した、立つ・歩くといった基本的な動作の訓練を行うリハビリ専門職です。

理学療法士は筋力や関節の動きの評価や基本的な動きを分析して、動作の再獲得に向けて練習します。

リハビリ施設では、理学療法士と後述の作業療法士、どちらか一方しか配置されていない施設も少なくありません。

そのため、理学療法士が後述の作業療法士が行う訓練も実施するケースもあります。

逆もまたしかりなので、それぞれの専門的なリハビリを受けたい場合は、両方の職種が配置された施設を選ぶとよいでしょう。


専門職②:作業療法士(OT)

作業療法士が行う訓練内容は、主に以下の3つです。

  • 食事や入浴などの日常生活で行う動作練習
  • 洗濯や掃除などの家事練習
  • 余暇活動の練習

理学療法士が足など下半身の訓練が得意なのに対して、作業療法士は指先や腕の訓練が専門になります。

また、残された身体機能のみでは作業の遂行が難しい場合、以下のような対応も可能です。

  • 自助具(※)の選定
  • 自助具の使用練習
  • 環境整備 など

※ご本人の能力を活かせるよう、形や機能を工夫した道具

認知・精神面へのアプローチも専門であるため、精神疾患や認知症を患っている方にも効果的な訓練・アドバイスをしてくれるでしょう。


専門職③:言語聴覚士(ST)

脳卒中や認知症などにより脳の言葉を司る部分が傷害されると、うまく言葉が出なかったり、言葉の理解が困難になったりします。

言語聴覚士はそのようなコミュニケーションの問題に対して、機能改善に向けた訓練や指導をするリハビリ専門職です。

また、食べ物や唾液を飲み込む機能、いわゆる嚥下(えんげ)機能の専門家でもあります。

高齢者は嚥下機能が低下しやすく、食べ物や唾液が気管に流れこんで肺炎を起こす誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスクが高くなりがちです。

話す・食べるといった機能に不安がある場合は、言語聴覚士が在籍するリハビリ施設を選びましょう。


退院後のリハビリが重要な理由

退院後もリハビリの継続が大切な理由は、以下の2つです。

  1. 心身機能の低下を防ぐ
  2. 自立した生活を継続する

自分らしい生活を続けると同時に、ご家族の介護負担を軽減する意味でも、継続したリハビリは重要です。

集中的なリハビリから一転して、退院後は環境の変化からあまり動かなくなってしまったり、自宅で閉じこもりになったりするケースも少なくありません。

できるだけ自立した生活を送り、ご本人・ご家族ともに穏やかな毎日を過ごせるよう、必要に応じてリハビリ施設の利用を検討しましょう。


まとめ:リハビリ施設で心身機能の維持・向上を

退院後も通所系サービスや訪問系サービスを利用すれば、自宅にいながら心身機能の維持・向上を目指せます。

有料老人ホームや介護老人保健施設に入所した場合も、継続したリハビリを受けることが可能です。

ただし、施設によってサービス内容や費用が異なるので、利用前に調べておきましょう。

なお、弊社ゴールドエイジでは、サービス付き高齢者向け住宅を中心としたサービス提供を行っています。

近年ではニーズの増大を受けて、9名の理学療法士と4名の作業療法士を配置し、リハビリサービスの充実に努めています。

退院後にリハビリが受けられる施設をお探しの方は、下記の施設一覧ページをご覧ください。

この記事の監修

間井 さゆり

役職内部監査室長
保有資格介護支援専門員(ケアマネージャー)

2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。