公開日:2024.06.13
更新日:2024.06.17

【早見表付き】特別養護老人ホームの費用を居室タイプ別に解説!軽減方法も

【早見表付き】特別養護老人ホームの費用を居室タイプ別に解説!軽減方法も

特別養護老人ホームは、24時間体制で介護ケアを提供する施設です。

他施設と比べると安く利用できますが、「具体的にどのぐらい金額がかかるのか」と気になっている方もいるでしょう。

この記事では、特別養護老人ホームの概要や居室タイプごとの費用について解説します。

費用負担を減らせる制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホームとは在宅での生活が困難な高齢者に、24時間体制で介護サービスを提供する生活施設です。

定義要介護高齢者を対象とした生活施設
主なサービス内容・入浴や排泄、食事などの介護
・その他日常生活の世話
・機能訓練、健康管理および療養上の世話
入居条件・65歳以上で要介護3以上の方
・40歳~64歳の方で特定疾患をお持ちの方
・要介護1・2の方で、やむを得ない事情により特養以外での生活が困難である方

終の棲家として終身利用が可能であり、他施設と比べると安く利用できる点が特徴です。

ただし、地域や施設によっては入居まで半年〜1年以上の待ち期間があるため、思うように入居できないケースもあります。

特別養護老人ホームの基礎知識について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】特別養護老人ホームと介護老人福祉施設の違いとは?類似施設との比較も解説

引用元:厚生労働省|介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)


特別養護老人ホームを利用する際にかかる費用の目安

特別養護老人ホームの費用について、以下の2つを解説します。

  1. 費用の内訳
  2. 【居室タイプ別】費用の相場

なお、本記事では以下の内容を前提にした費用を掲載しています。

  • 2024年(令和6年)4月現在
  • 負担割合:1割の場合
  • 地域区分:1単位=10円の場合
  • 30日あたりの費用目安
  • 日常生活費:10,000円の場合(施設によって設定)


費用の内訳

特別養護老人ホーム入所時の費用内訳は、下表のとおりです。

項目内容詳細
初期費用なし
月額利用料介護サービス費介護サービスを受ける際に必要な費用
居住費家賃に相当する費用
食費1日3食分の食事代
日常生活費・医療費
・理美容代
・外出代 など

介護サービス費とは施設で提供されるサービスに対して支払う基本費用であり、要介護度によって自己負担額が変わります。

居住費は部屋を利用する際に支払う家賃であり、居室タイプによって費用負担が変わる点が特徴です。

オムツや尿取りパッドは施設負担のため、追加費用はありません。

ただし、施設によっては人員体制やサービスの拡充度に応じて、介護サービス加算による費用が追加されます。

加算で評価される体制や状況は、以下のとおりです。

  • 医療職や専門職の人員体制・配置状況
  • 入退所時のサポート
  • 医療機関との連携体制
  • 看取り体制
  • 感染症対策やICT機器の導入状況
  • リハビリテーションや口腔・栄養ケアの提供
  • 介護職員の処遇改善

具体的な金額は、入居相談の際に施設へ確認するとよいでしょう。

なお、特別養護老人ホームは待機期間が長い傾向にあり、待っている間にご家族の介護負担が増えてしまう可能性があります。

待機期間の長期化を見越して、他施設も複数検討しておくことが大切です。

弊社ゴールドエイジでは、有料老人ホームやサ高住を運営しております。

他の施設とあわせて検討したい方は、施設一覧ページでお近くの施設をご覧ください。

引用元:厚生労働省|令和6年 介護報酬の算定構造


【居室タイプ別】費用の相場

特別養護老人ホームには以下4つの居室タイプがあり、それぞれ費用相場が異なります。

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
従来型個室10万6,150円10万8,250円11万440円11万2,540円11万4,610円
多床室9万6,670円9万8,770円10万960円10万3,060円10万5,130円
ユニット型個室13万3,630円13万5,730円13万7,980円14万110円14万2,180円
ユニット型個室的多床室12万3,490円12万5,590円12万7,840円12万9,970円13万2,040円

詳しい内訳と金額を見ていきましょう。

なお、親を施設に入れる際は費用以外にも考慮すべき点が複数あります。

詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事】親を施設に入れるタイミングや費用相場を解説!手順や拒否時の説得方法も

従来型個室

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
介護サービス費1万7,670円1万9,770円2万1,960円2万4,060円2万6,130円
居住費3万5,130円
食費4万3,350円
合計10万6,150円10万8,250円11万440円11万2,540円11万4,610円

従来型個室とは、各部屋にベッドが備え付けられており、プライバシーが確保されている1人部屋です。

個室の中でも、もっとも安い居室タイプとなっています。

多床室

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
介護サービス費1万7,670円1万9,770円2万1,960円2万4,060円2万6,130円
居住費2万5,650円
食費4万3,350円
合計9万6,670円9万8,770円10万960円10万3,060円10万5,130円

多床室とは、1部屋に複数名入居されている部屋です。

4人部屋が多く、他部屋タイプよりも費用が抑えられるメリットがあります。

ユニット型個室

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
介護サービス費2万100円2万2,200円2万4,450円2万6,580円2万8,650円
居住費6万180円
食費4万3,350円
合計13万3,630円13万5,730円13万7,980円14万110円14万2,180円

ユニット型個室とは、10名以下のユニットで共同生活を送る設備における部屋です。

従来の特養と比べると専任スタッフの配置基準があり、手厚いケアを受けられます。

ユニット型個室的多床室

要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
介護サービス費2万100円2万2,200円2万4,450円2万6,580円2万8,650円
居住費5万40円
食費4万3,350円
合計12万3,490円12万5,590円12万7,840円12万9,970円13万2,040円

ユニット型個室的多床室とは、多床室にパーテーションなどを設置し、個室のように作り替えた部屋です。

従来の多床室と比べると隣の方の音などは聞こえてしまいますが、1人の時間を過ごしやすくなります。


特別養護老人ホームの費用負担を軽減する2つの制度

特別養護老人ホームの入所時に利用できる費用負担軽減制度は、以下の2つです。

  1. 特定入所者介護サービス費
  2. 高額介護サービス費

それぞれの制度概要やどれほど負担が軽くなるかについて解説します。


制度①:特定入所者介護サービス費

特定入所者介護サービス費とは、認定段階に応じて食費と居住費の負担額を給付する制度です。

設定区分は、下表の5段階があります。

設定区分対象者の条件預貯金額※2
生活保護受給者等市町村民税本人の公的年金年収(※)+その他合計所得老齢福祉年金受給者
第1段階該当要件なし
世帯全員が非課税該当1,000万円
(2,000万円)
第2段階80万円以下650万円
(1,650万円)
第3段階①80万円~120万円以下550万円
(1,550万円)
第3段階②120万円以上500万円
(1,500万円)
第4段階非課税支給対象外
※1 非課税年金含む
※2 ()内の金額は夫婦の場合に適用

段階に応じた負担限度額は、下表のとおりです。

食費居住費
従来型個室多床室ユニット型個室ユニット型個室的多床室
基準費用額4万3,350円3万5,130円2万5,650円6万180円5万40円
第1段階9,000円9,600円0円2万4,600円1万4,700円
第2段階1万1,700円1万2,600円1万1,100円2万4,600円1万4,700円
第3段階①1万9,500円2万4,600円1万1,100円3万9,300円3万9,300円
第3段階②4万800円2万4,600円1万1,100円3万9,300円3万9,300円
※令和6年4月時点(令和6年8月に引き上げ予定)
※30日あたりの金額

負担限度の認定を受けたい方は、お住まいの市区町村に申請しましょう。

引用元:介護サービス情報公表システム|サービスにかかる利用料


制度②:高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、月々の介護保険負担額を軽減する制度です。

設定区分は、下表の6段階があります。

設定区分対象者の条件月額負担上限額
生活保護受給者等市町村民税所得
第1段階該当1万5,000円※
第2段階非課税本人の公的年金年収+その他合計所得が80万円以下・1万5,000円※1
・2万4,600円※2
第3段階第1および第2段階に該当しない2万4,600円※2
第4段階①課税所得380万円未満
(年収約770万円未満)
4万4,400円※2
第4段階②課税所得380万円~690万円未満
(年収約770万円~約1,160万円未満)
9万3,000円※2
第4段階③課税所得690万円以上
(年収約1,160万円)
14万100円※2
※1 個人にのみ支給
※2 世帯に支給

世帯単位で上限が決められており、夫婦の場合は2人の利用料金を合算したうえで負担上限額と照らし合わせます。

複数名の介護が必要な世帯にとっても、安心できる減免制度といえるでしょう。

引用元:


まとめ:特別養護老人ホームの費用負担は比較的少ない

特別養護老人ホームの費用は他施設と比較すると安く、さらに減免制度も活用できます。

ただし、施設によっては具体的な金額は異なるため、入居前に必ず確認しておきましょう。

なお、弊社ゴールドエイジでは有料老人ホームやサ高住を運営しております。

特養だけではなく他の施設と比較検討したい方は、一覧ページでお近くの施設をご覧ください。

【関連記事】認知症向け介護施設一覧|入所にかかる費用や選び方のポイントも解説
【関連記事】【一覧表付き】有料老人ホームとサ高住の違い|おすすめな人の特徴も解説
【関連記事】【高齢者向け】リハビリ施設の種類一覧|費用や専門職による訓練内容も解説

この記事の監修

間井 さゆり

役職内部監査室長
保有資格介護支援専門員(ケアマネージャー)

2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。