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掲載日:2025.05.02
更新日:2026.01.19
緩和ケアと言われたら「余命わずか」は誤解|支援内容やサポート体制を解説

緩和ケアとは病気により現れるさまざまな痛み・つらさに対し、多様な専門職がアプローチするケアです。
しかし、緩和ケアと医師から言われると「もう長くない」「治療できない」と不安になる方が多いでしょう。
この記事では、緩和ケアと言われたら知っておきたい・大切にしたい視点や行動を解説します。
終末期で行われる類似ケアとの違いやよくある質問も紹介するので、緩和ケアの基礎知識について知りたい方はぜひご覧ください。
目次
緩和ケアと言われたら知っておきたい3つのこと

緩和ケアについてまず知っておきたいのは、以下の3つです。
- 「もう助からない」は誤解である
- 緩和ケアは心と体のつらさを和らげる
- 多様な専門職がサポートしてくれる
緩和ケアの基本知識を学んでいきましょう。
知っておきたいこと①:「もう助からない」は誤解
緩和ケアを勧められたとき、「もう助からない」というわけではありません。
緩和ケアは痛みや苦しみ・つらさを和らげることを優先し、自分らしい日常生活を続けられるようサポートします。
たとえば、医師から「あとは緩和ケアで」と告げられたとき、以下のような焦りや不安を感じる方が多いでしょう。
- 「もう病気は治らない」
- 「治らないから、何もせず時が過ぎるのを待つだけだ」
- 「治療方法もないから、医者がもう匙(さじ)を投げたのと同然」
しかし、上記は緩和ケアと終末期ケア(ターミナルケア)を混同しています。
緩和ケアは病気と診断されたときからはじまり、治療と並行しながらさまざまな苦痛を和らげ、生活の質の向上を目的としています。
一方、終末期ケアは余命わずかの方が対象で、患者やそのご家族が望むケアを提供し、積極的な延命治療はしません。
実際、早くから緩和ケアを受けると余命が伸びるというアメリカの研究結果も出ています。
病気に関する知識や治療方法を学び、自分らしい生活を継続できるよう選択すると余命が延長される可能性があるのです。
つまり、緩和ケアは「病気と向き合い、どのように歩んでいくか」を支援するケアといえるでしょう。
緩和ケアの主な効果や研究結果についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてください。
【関連記事】緩和ケアは生存期間(余命)を延長させる?国内外の研究結果をもとに解説
知っておきたいこと②:心と体のつらさを和らげるケア
緩和ケアは、身体的症状や精神的苦痛・つらさを和らげるケアです。
WHO(世界保健機関)は、緩和ケアを以下のように定義しています。
| 緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチ。 |
緩和ケアの開始時期は、がんや心血管疾患などの病気が診断されたときです。
現れている症状に対して一時的に治療するだけではなく、今後への不安や心配事へのケアも含まれています。
たとえば、吐き気や食欲低下といった症状とともに、不安からくる睡眠障害・抑うつなどにもアプローチします。
治療にかかる費用負担の軽減制度や、友人などの社会的つながりを保てるようサポートするのも緩和ケアの役割となっているのです。
引用元:特定非営利活動法人日本緩和医療学会|「WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002)」定訳
知っておきたいこと③:多様な専門職がサポート
緩和ケアでは、状況に応じて下表のように多様なメンバーがサポートします。
| 役職 | 主な役割 |
| 医師 | 主となる症状の治療や、心理的不安やつらさを和らげる |
| 看護師 | 日々の体調管理や、身体面や心理面での相談を受ける |
| 薬剤師 | 薬剤への不安を和らげ、使用方法・飲み方をアドバイスする |
| 管理栄養士 | 栄養の管理や、食事の工夫をサポートする |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 機能訓練や日常生活が継続できるようリハビリテーションを実施する |
| ソーシャルワーカー | 退院・転院の支援や、家庭環境・経済面の不安に関する相談をうける |
| ケアマネージャー | ご本人にあった介護保険サービスを紹介・ケアプランを作成する |
| 心理士 | 症状に関するこころの問題を心理学の立場からサポートする |
また、緩和ケアが受けられる場は、以下のとおりです。
- 通院
- 入院
- 自宅
- 介護施設 など
緩和ケア病棟の入院費用や費用負担の軽減制度について知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
【関連記事】【料金表付き】緩和ケア病棟の入院費用|内訳や経済的負担の軽減制度も解説
緩和ケアと言われたら大切にしたい2つのこと

緩和ケアと言われたら大切にしたい行動は、以下の2つです。
- つらい気持ちに蓋をしない
- 我慢せずに周囲の力を借りる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大切にしたいこと①:つらい気持ちに蓋をしない
緩和ケアでは以下のような痛みや苦しさといったつらい気持ちに蓋をせず、周りに伝えることが大切です。
- 体の痛み(吐き気や頭痛、だるさ)
- 気持ちのつらさ(不安や抑うつ)
- 生活の苦しみ(金銭面や家族の状況)
- こころの痛み(怒りや虚無感、孤独) など
ただし、痛みやつらさは自分以外に伝えるのが難しいと感じるケースもあるでしょう。
そのような場合に備えて、症状日記・日誌でご自身が感じた症状や苦しみについて書き残すことも大切です。
具体的な記載項目の例は、以下のとおりです。
- いつ(いつから)
- どこが
- どのタイミングで
- どのように
- どれほど痛い・つらい など
症状日記・日誌をとおして緩和ケアチームが情報を共有し、痛みが出てくるきっかけや状況に適したケア方法を見つけるのに役立つでしょう。
大切にしたいこと②:我慢せずに周囲の力を借りる
緩和ケアを受けるときには、我慢せず周囲の力を借りましょう。
緩和ケアでは体への治療はもちろん、心理・精神面もサポートします。
このとき、ご家族や友人といった周囲の方々との協力が大切です。
一方で、緩和ケアでは病気になったご本人だけではなく、「第二の患者」といわれるご家族へのサポートも重要視しています。
ご家族自身も生活を維持する大変さがありながらも、「本人のほうがつらいから」とより我慢してしまいがちなためです。
寝る間を惜しんで看病したり、経済的な面で不安を強く感じたりすることもあるでしょう。
各都道府県では、がんを抱えたご本人・ご家族を対象とした「がん相談支援センター」が設置されています。
たとえば、愛知県ではがん相談支援センターが29か所あり、電話や面談などの方法で相談可能です(2024年10月時点)。
ご本人はもちろん、ご家族もつらいときは我慢せずに専門機関などへ相談しましょう。
【比較表】緩和ケアとほかのケアとの違い

緩和ケアや終末期に関係するケアとの違いは、下表のとおりです。
| 緩和ケア | ホスピスケア | 終末期ケア (ターミナルケア) |
エンド・オブ・ライフ・ケア | |
| 対象者 | 患者とその家族 | 死について考える人 | ||
| 開始時期 | 疾患の診断を受けたとき | 生命の危機に瀕しているとき | 終末期を迎えたとき | 死を意識しはじめたとき |
| 目的 | さまざまな苦痛を和らげる | 全人的苦痛を和らげ、心身ともに安楽に過ごす | 延命治療よりも生活の質を優先させる | 死を考えることで、よりよく生きられるよう支援する |
| 支援期間 | 長い | 最も短い | 短い | もっとも長い |
それぞれのケアでは、残りの人生をどう生きるかが共通の視点となっています。
死について考えることで生を見つめなおし、最期まであなたらしい人生を送れるのです。
緩和ケアとホスピスケアの共通点・違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてください。
【関連記事】緩和ケア・ホスピスケアの違いと共通点を解説|対象者・費用・提供場所など
緩和ケアが始まったあとの生活に不安がある方は

緩和ケアが始まったあと、「どうすればよいか、わからない」「自宅での生活だと不安がある」という方は、弊社ゴールドエイジをおすすめします。
基本的に全館で緩和ケアの入居対応が可能です。
また、高齢者だけでなく若年層の方でも入居できます。
ただし、入居者様の状態や必要なケアによっては、入居可能な施設が限定される場合がございます。
詳細につきましては、ぜひお問い合わせください。
お近くの施設で入居についてご相談したい方は、施設一覧ページもあわせてチェックしましょう。
緩和ケアに関するよくある質問

緩和ケアに関するよくある質問を2つ紹介します。
- 緩和ケアと言われたら余命はどうなるの?
- 緩和ケアと言われたら必ず入院する必要がある?
それぞれ解説します。
質問①:緩和ケアと言われたら余命はどうなるの?
緩和ケアを告げられたからといって、余命が残り少ないわけではありません。
緩和ケアによってさまざまな苦痛が和らぐと健康状態が改善され、生活の質の向上にもつながります。
緩和ケアと言われても悲観せず、自分らしい生活の継続を目指しましょう。
質問②:緩和ケアと言われたら必ず入院する必要がある?
緩和ケアと言われても、必ず入院する必要はありません。
緩和ケアは、入院先だけでなく通院や自宅でサポートを受けられます。
慣れ親しんだ自宅や、介護サービスも充実した介護施設などの安心できる環境も可能です。
希望するケア内容や状況にあわせて選択しましょう。
まとめ:緩和ケアと言われたらご家族・専門機関とよく相談を

緩和ケアと言われたら、あなた1人だけで悩まずご家族・専門機関と相談して今後の方針を決めましょう。
緩和ケアになったからといって、余命わずかというわけではありません。
さまざまな痛みやつらさと向き合うためにも、早めに周りの人へ相談すると今後の生活も安心できます。
なお、弊社ゴールドエイジでは、高齢者のみならず若年層の方も緩和ケアでご入居可能です。
ただし、入居者様の状態や必要なケア内容によっては、入居可能な施設が限定される場合がございます。
詳細につきましては、ぜひお問い合わせください。
緩和ケアの受け入れ状況を知りたい方やご入居を検討されている方は、施設一覧ページもあわせてチェックしましょう。
【関連記事】サ高住とはどんな施設?5つの観点からわかりやすく解説!近年の入居状況も
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この記事の監修

間井 さゆり
| 役職 | 内部監査室長 |
| 保有資格 | 介護支援専門員(ケアマネージャー) |
2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。