【一覧表】有料老人ホームとグループホームの違い|メリット・デメリットも

親の認知症が進んで介護が大変になると、施設への入所を検討し始める方が多くなります。
しかし、「認知症でも入れる施設がよいけれど、有料老人ホームとグループホームは何が違うの?」と悩む方も少なくありません。
この記事では、2つの違いについて、入居条件や過ごし方など5つの観点から解説します。
それぞれのメリット・デメリットや向いている人の特徴もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
有料老人ホームとグループホームの基礎知識

まずは2つの基礎知識として、タイプ別の概要などを解説します。
- 有料老人ホームとは
- グループホームとは
それぞれ詳しく見ていきましょう。
有料老人ホームとは
有料老人ホームとは60歳または65歳以上の高齢者を対象とし、以下に挙げる4ついずれかのサービスを提供している施設です。
- 食事の提供
- 介護(入浴、排泄)の提供
- 洗濯や掃除など家事の支援
- 健康管理
種類は、下表の3つが挙げられます。
介護付き | 住宅型 | 健康型 | |
対象者 | 介護が必要な方 | 自立した方から介護が必要な方まで幅広く対応 | 介護の必要がない自立した方 |
特徴 | 特定施設入居者生活介護(※)の指定を受け、施設内もしくは外部の介護サービスを利用 | 入居者が必要に応じて外部の介護サービスを利用 | 介護が必要になると退去 |
3つの施設は、介護の必要性に大きな違いがあります。
介護付きと住宅型では介護度の変化にも対応しており、将来的に状態が変わっても不安なく生活できる点が特徴です。
健康型は施設数が少なく対象者が限られるため、介護面を重視するなら介護付きか住宅型を選びましょう。
なお、有料老人ホームの施設数は毎年2〜5%ずつ増加しており、施設の選択肢は年々多くなっています。
そのため、ご本人が望む生活の形をしっかり確認し、入居先を検討することが大切です。
施設の選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】認知症向け介護施設一覧|入所にかかる費用や選び方のポイントも解説
引用元:
グループホームとは
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症の高齢者を対象に家庭的な環境の中、共同で生活するための住居です。
グループホームは下表のように、対象者や建築方式によってさまざまなタイプがあります。
違い | 種類 | 概要 | |
対象者 | 予防介護認知症対応型共同生活介護 | 要支援2の方 | |
認知症対応型共同生活介護 | 要介護1以上の方 | ||
部屋タイプ | ユニット型 | ・5~9人で1ユニット ・施設につき2ユニットが原則 | |
サテライト型※1 | 1人暮らし | ||
建築方式※2 | 併設型 | 以下の施設などに併設しているタイプ ・病院 ・老人保健施設 ・特別養護老人ホーム | |
単独型 | 以下を新築・改築したタイプ ・民家 ・一戸建て | ||
合築型 | 以下に挙げる施設などの一角を改装したタイプ ・マンション ・ビル |
※2 自治体や事業所によって相違あり
認知症の進行遅延を目的とし、自立した生活を送れるようサポートする点が特徴になります。
比較的費用を抑えて入居できるうえに、認知症の専門的なケアが受けられるので、優先的に選択される施設です。
しかし、少人数制の施設であるため、すぐに入居できるかはわかりません。
入居までの期間を含めたメリット・デメリットについては、後述の「有料老人ホームとグループホームのメリット・デメリット」を参考にしてください。
引用元:厚生労働省|2023年認知症対応型共同生活介護 (認知症グループホーム)
【一覧表付き】有料老人ホームとグループホームの違い

有料老人ホームとグループホームの違いは下表のとおりです。
違い | 有料老人ホーム | グループホーム |
入居・退去条件 | 【入居条件】60歳または65歳以上の高齢者 【退去条件】高度な医療ケアが必要になった場合 | 【入居条件】要支援2以上の介護認定を受けている65歳以上の高齢者 など 【退去条件】認知症が進む、あるいは医療ケアの必要性が高くなった場合 |
配置されるスタッフ | タイプ別に相違あり | 介護スタッフが24時間常駐 |
サービス内容 | ・日常生活支援 ・介護※ など | ・日常生活支援 ・機能訓練 など |
過ごし方 | 自由度が高く、1人での外出も可能 | 1人での外出はできないが、認知症に効果のあるレクリエーションに参加可能 |
費用 | ・初期費用 ・月額費用 ・介護保険サービス自己負担分 |
ご本人の身体状況や認知症の進行度などを踏まえ、入居先を検討しましょう。
違い①:入居・退去条件
【入居条件】
有料老人ホーム | グループホーム | |||||||
介護度 | 介護付き | 住宅型 | 健康型 | 要支援2以上の方※2 | ||||
要支援1~要介護5の方 | 自立した方~要介護5の方 | 自立した方~要支援2の方※1 | ||||||
認知症 | 入所可能 | 入所可能 | 進行度合いによる | 医師から認知症の診断を受けている方 | ||||
その他 | — | 事業所がある市町村に住民票がある方 |
※2 要介護度が高い方の受け入れは施設ごとに相違あり
【退去条件】
有料老人ホーム | グループホーム |
・高度な医療ケアが必要になった場合 ・病気が重症化した場合 | ・認知症の進行により共同生活が困難な場合 ・医療ケアが必要になった場合 |
グループホームでは看取りや医療ケアにも対応しているところも増えてきているものの、対応範囲の差は大きいのが現状です。
医療的なサポートも含めて検討している方は有料老人ホーム、とくに介護付きや住居型がおすすめといえるでしょう。
違い②:配置されるスタッフ
有料老人ホーム(介護付きのみ配置基準あり) | グループホーム |
・要介護者:看護、介護スタッフ=3:1 ・生活相談員1人以上 ・機能訓練指導員1人以上 | ・利用者:介護スタッフ=3:1 ・夜間はユニットごとに介護スタッフ1人 ・医療スタッフは設置義務なし |
高齢者は疾患を持っている方が多く、体調の変化も起きやすい傾向にあります。
しかし、住宅型と健康型の有料老人ホームはグループホームと同様に、医療スタッフの配置は施設によって異なります。
有事の場合を考えて、医療体制については事前に調べておくと安心でしょう。
なお、弊社ゴールドエイジでは24時間看護師が常駐しており、より質の高い「ロイヤルケア」を心がけています。
それぞれの身体や生活の状況に合わせた介護計画を立て、状態の変化に柔軟に対応しています。
どのようなときも安心して過ごせる住環境を整えていますので、入所先をお探しの方は施設一覧ページをご覧ください。
違い③:サービス内容
有料老人ホーム | グループホーム | ||
介護付き | 住宅型 | 健康型 | ・食事や洗濯などの日常生活支援 ・機能訓練 ・体調管理 |
・介護 ・家事支援 ・体調管理 | ・家事支援 ・必要時介護 ・体調管理 | ・食事の提供 ・体調管理 |
グループホームでは、自立支援を重点とし、ご本人ができることを伸ばすようサポートしています。
一方、有料老人ホームでは食事や洗濯などはスタッフが行います。
スタッフの人数にも差があるため、個別の対応については有料老人ホームのほうが柔軟といえるでしょう。
違い④:過ごし方
有料老人ホーム | グループホーム |
・1人の時間を確保できるため、自由度が高い ・ゲームやクイズ、集団で行う体操など身体機能低下予防のレクリエーションを実施している ・季節ごとにお花見などをする施設もある | ・スケジュールが決まっていることが多く、自由度は低い ・食事や掃除などはスタッフと一緒に行う ・園芸療法や音楽療法など認知症に効果のあるレクリエーションを実施している |
有料老人ホームでは自由度が高い分、今までの生活を比較的維持しやすい環境です。
一方、グループホームでは、普段から認知症の進行を防ぐ取り組みを実践し、専門的なケアも提供しています。
高齢者の認知・身体機能を維持するためには日々の活動が重要なため、施設のリハビリ実施状況なども要チェックポイントといえるでしょう。
高齢者のリハビリについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】【高齢者向け】リハビリ施設の種類一覧|費用や専門職による訓練内容も解説
違い⑤:費用
有料老人ホーム | グループホーム | |
初期費用※1 | 0~数千万円 | 0~数十万円 |
月額費用※2 | 10~30万円 | 7~20万円 |
※2 家賃や光熱費など
有料老人ホームの支払い方法は、月払い方式と前払い方式の2種類です。
月払い方式 | 前払い方式 |
家賃やサービス費を月ごとに支払い | ・終身居住することを前提に、将来の家賃を一括して支払い ・入居一時金として前払いする金額は、想定居住期間に基づき設定 |
前払い方式の想定居住期間とは、これから入居し続けると想定される平均的な期間のことです。
金額は入居時の状態や入居者の平均余命等により、有料老人ホームごとに設定されています。
月額費用は前払い方式のほうが安く済む傾向にありますが、全体の費用はグループホームよりも高めです。
一方、グループホームでは比較的費用を抑えられますが、月額費用以外に実費で支払うものもあります。
たとえば、趣味・嗜好品や日用生活用品(おむつ代、衣料代など)は実費となるので、事前に確認しておきましょう。
引用元:
有料老人ホームとグループホームのメリット・デメリット

有料老人ホームとグループホームのメリット・デメリットは下表のとおりです。
有料老人ホーム | グループホーム | |
メリット | ・医療ケアにも対応している ・介護度が変化しても継続できる ・施設数が多く、入居が早い ・個々への要望にも柔軟に対応できる | ・認知症専門のケアが受けられ、認知症の進行遅延につながる ・少人数での生活なので、心身の状態を穏やかに保てる ・今ある能力を伸ばせる ・地域との交流をはかることで、社会の一員である尊厳を保てる |
デメリット | ・費用が高い ・認知症についての知識は施設ごと異なる ・集団生活によるストレスが大きい | ・医療ケアに対応していない場合がある ・入居条件が比較的厳しい ・入居枠が少ないため、入居待ちのリスクが高い |
有料老人ホームでは、介護や医療などの幅広い対応が最大のメリットといえるでしょう。
しかし、費用が高いため、将来についても考えておく必要があります。
実際、入居期間は介護付き有料老人ホームで約3年3か月、住宅型有料老人ホームでは約2年と算出されています。
入居を検討する際は、将来的な予算も検討し入居先を選ぶことが大切です。
一方、グループホームでのメリットは、認知症の専門的なケアを受けられる点です。
デメリットとして、少人数制のため入居待ちのリスクが高いことが挙げられます。
場合によっては、入居まで数か月~数年の期間を要することもあるでしょう。
本人の生活状況や認知症の進行度を見極めて、入居を検討してください。
引用元:
有料老人ホームとグループホームはどちらがおすすめ?

最後に、有料老人ホームとグループホームどちらがよいか悩む方向けに、以下の2つを解説します。
- 有料老人ホームがおすすめな人
- グループホームがおすすめな人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
有料老人ホームがおすすめな人
有料老人ホームがおすすめな人の特徴は、以下のとおりです。
- 介護が必要な人、また必要になりそうな状態である
- 疾患を抱えており、医療ケアが必要である
- 自分の時間を確保したい
- 待機期間なく入所したい
有料老人ホームは、メリットにもあげたように介護度が高く医療ケアの必要な方に対応しています。
入居後状態が変化しても、安心して生活を継続できるでしょう。
グループホームがおすすめな人
グループホームがおすすめな人の特徴は、以下のとおりです。
- 専門的な認知症ケアを受けたい
- 大人数だと混乱してしまう
- 自分のことは自分でやりたい
- 費用を抑えながら施設に入所したい
認知症の専門的なケアやサポートを受けられるので、認知症の改善を優先したい方に向いています。
しかし、前述したデメリットを踏まえて、入所のタイミングを見極めることが大切です。
まとめ:有料老人ホームとグループホームの違いは大きい

有料老人ホームとグループホームでは、入居条件や過ごし方などに大きな違いがあります。
ご自身またはご家族について、現在の状況だけでなく未来のことも視野に入れ、状態の変化に対応できる施設選びが大切です。
有料老人ホームをお探しの方は、以下の施設一覧ページもあわせてご覧ください。
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この記事の監修

間井 さゆり
役職 | 内部監査室長 |
保有資格 | 介護支援専門員(ケアマネージャー) |
2006年入社 ゴールドエイジの創業当初から介護事業運営に幅広く携わり、介護支援専門員、館長、内部監査員などを歴任し発展を支えてきた。
現在は内部監査室長としてゴールドエイジの介護事業運営の適正化、効率化を支えている。